狐の孫
▼24.曖昧な確立
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『千』
「なんでしょう…」
『奴良組についていい?』
無言は…肯定ってことでいいんだよね。
お姉様がやろうとしていることは、何かが変。
私の存在だって。同じように、変。
一度死んだ…自分の息子をまた産もうとしてる。それは…人なのかな。
もちろん、私だって転生らしい。
でも生まれてもない。言ってしまえば、生まれる時期が遅くなった。それだけ。
それに、お姉様の目的は人間の支配。
私はそんなこと、望んでない。
『遠野の妖怪…さん、ありがとうございました。千、お姉様と…リクオ君たちのところに行こう』
「はい…!!」
千は、お姉様や鬼童丸の実力を知っている。
私でも怖いのに、きっと私以上なんだ。
『大丈夫だよ千…。私達は奴良組もお姉様も関係ないから』
「え…?」
『別に私達が何処かに逃げたって…誰も気にしない』
「………」
私達は、それほど曖昧な存在。信用だってされない。
いつ裏切るか判らないって。
そういう存在だから。
『それでも私達は、奴良組を手伝うの』
「…このまま京都から出ても構わないのですよ?」
『駄目だよ、千。だって千もリクオ君や氷麗ちゃん、浮世絵中学校の皆を知ってる』
判らない、そういった表情を千は私に向けた。
私だってよく判らない。
『ついでに、京妖怪も知ってる。私達は、両方の傍に居なきゃいけない。』
なぜなら…
『私達は両方の敵にも味方にもなり得るから。曖昧だけど、両方が判るのは、私達だけ』
「架け橋…でもなさるのですか?」
『それは…無理だと思う』
「じゃあ…」
じゃあ…?ごめんね。
結局私のワガママなの。
『どちらが勝つにしても負けるにしても…見届ける義務があると思う』
「羽衣狐様も…奴良組もお好き…だからですか?」
好き…。うん、好き。
どっちか1つなんて選べない。それくらい、皆が好き。
鬼童丸は小さいときからいつも私の側に居てくれた。
お姉様は昔から、私の憧れだった。今だって、憧れてる。
リクオ君は私に部活を教えてくれた。学校だって。
氷麗ちゃんは、私が困ってるといつも助けてくれた。(カナちゃんと取り合いみたいな感じもしたけど)
どっちにしろ、浮世絵中学校のみんなは、親切。
どっちかなんて、選べない。
でもその中で、奴良組の味方をする。
『私はお姉様に気付いて欲しい。それが駄目なら死ぬよ』
「お嬢様が亡くなられましたら私だって死にますよ」
こうやって、お互いを見ながら笑えるのも、最後。
私達は、リクオ君の元に向かった。
曖昧な確立
◎2人は移動早いからきっとリクオVS鬼童丸に間に合う…はず!いや、間に合わせます笑
20111226
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