狐の孫
▼15.陰陽師と狐
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《百紅?久しぶり》
『お姉様!お久し振りです』
元気そうな声で迎えてくれた。
それだけなのに、なんだか泣きそうで。
受話器を強く握り締めた。
『嬉しいです、話せて…』
《ふふ、私もよ?百紅》
『ところでお姉様。お話があります』
《なに?》
『夏休み、友人と一緒に屋敷に行っていいですか?』
許可を貰えるかは全く判らない。
貰えなくても、とにかくお姉様には会いたい。
貰えたら貰えたでいいと思うし。
《名前、教えてもらえる?》
『えっと…。
清継君、リクオ君、カナちゃん、氷麗ちゃん、鳥居さん、巻さん、倉田君の7人です』
ゆらちゃんは多分自分の家に帰ると思う。
そもそも、今、京都だし。
元気かな、ゆらちゃん。
《そのリクオ君…名字は?》
『?…奴良です。奴良リクオ君』
鼻で笑う声が聞こえた気がする。
《百紅、貴方1人で来て。大事な話をするから》
『…判りました』
受話器を置く。
結局無理だった。
許可貰えるかもなんて思ってた私は浮かれてた。
でもゆらちゃんちもあるし!
陰陽師って優しいイメージあるから泊めてくれると思う。
それは宿敵
(この時もまだ、浮かれてたよね)
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111009
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