守り神
▼8.宿った思い
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苔姫様の着物を着てから数段移動のスピードが速くなった気がする。
『火事…か』
建物に近づくにつれ鼻に付く焦げ臭さ。
そりゃ建物も悲鳴あげたくなるね。
『大丈夫、私が…守る』
守られてる私が守るなんて可笑しい。
でも私は…。
《守り神様?》
『遅くなってごめんね、誰かの建物さん。そ、守り神。私がこの建物に宿った思い…貴方を守ります』
ただの人間がこうなったのもまぁ正直無駄な話。
私は伊勢葵で守り神。
今全力を尽くさないと守り神の中が廃るでしょ?
もうただの人間じゃないんだから。
『それじゃいきますね』
守る、絶対守る。
神様、力をお貸し下さい。
この建物をお守り下さい。
そう願った瞬間、眩しい光が建物を包んだ。
宿った思い
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