守り神 | ナノ

守り神

8.宿った思い

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苔姫様の着物を着てから数段移動のスピードが速くなった気がする。




『火事…か』




建物に近づくにつれ鼻に付く焦げ臭さ。
そりゃ建物も悲鳴あげたくなるね。




『大丈夫、私が…守る』




守られてる私が守るなんて可笑しい。



でも私は…。




《守り神様?》


『遅くなってごめんね、誰かの建物さん。そ、守り神。私がこの建物に宿った思い…貴方を守ります』




ただの人間がこうなったのもまぁ正直無駄な話。



私は伊勢葵で守り神。



今全力を尽くさないと守り神の中が廃るでしょ?
もうただの人間じゃないんだから。




『それじゃいきますね』




守る、絶対守る。
神様、力をお貸し下さい。



この建物をお守り下さい。



そう願った瞬間、眩しい光が建物を包んだ。









宿った思い




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