守り神 | ナノ

守り神

61.落ち込む

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落ち着かない。
ひたすら部屋の中を歩き回って、早30分。

もう関与しないとは言ったけど、魔王の小槌だって四国妖怪のことだって気になる。
奴良組が動いてる様子はないから私も動かないけど。


そういえば確か私四国妖怪に捕まったの逃げたんだっけ。すっかり忘れてた。
狸が怒ろうが関係ないけど、逃げたあと残して良かったのか疑問には思う。

結果的に奴良組の2人を助けたことにはなるけど、スパイの邪魔しただけだし。




「…気になるなら行けば

『大丈夫行かないから』

……」




犬神にも当たったりして、情けない。
一応私と犬神の間には主従関係があるわけで、私なんかに仕えるのは大変だと思う。
私は他の神と違って自由すぎるから。


さっき、奴良組から帰る途中病院に寄った。
そこで会った土地神はまさに病院って感じの神様だった。
誰かは聞いてないけど、清十字怪奇探偵団の子もお世話になったらしい。

そういう神様の神使の方が、ずっと楽なはず。




『…犬神はさー、神使なんてなって良かった?』

「誘ったのはお前ぜよ」

『ってことは、私に誘われたから神使になりましたってこと?』




言ってて悲しくなった。

結局、私は基本的に誰かを巻き込むことしかしてない。桜様もリクオも犬神も…。
助けるなんて言っておいて、いつも助けてもらってるのは私。




『…辞めてもいいんだよ?』

「……俺は葵に助けてもらった」

『!!』

「その葵の力になれるなら、いくらでも手伝う。それだけぜよ」




………。




『ありがと犬神大好き!!』

「はっ、そうやって笑ってる方がお前らしいぜよ」




変な心配してる私が馬鹿みたい。
そもそも、犬神は狸に忠実だったから私のところに来るわけないんだ、普通。
それなのに来てくれたってこと考えたらそれしか答えないのに。

犬神は私の傍に居てくれるって判ってたのに。




『私たちの敵は犬神の仲間だった妖怪だよ』

「別にもう気にしない。アイツは俺を殺すつもりだった。今更味方とは思えないぜよ」

『うん…。じゃあ、奴良組が動きだしたら高みの見物の行きましょうか』




犬神といるとどうでもよくなる。使命とか、そういうの。
守り神に与えられた仕事なんて知らないけど、知らない今は私の自由。
知ったとしても私は多分変わらない。

私の神使で良かったと犬神に思わせてあげたい。
それだけでも十分だと思う。


だからさ、狸。
クライマックスはまだ私には判らないけど、きっと私に有利になる。
私が望めば神様が手伝ってくださるだろうし、今の私は弱くない。精神的に。

奴良組だって四国妖怪よりずっと強い。
狸にあるのは妖刀だけ。

それで奴良組に立ち向かおうなんてなめてるよね。






でもそんなの一時的

( 私が嫌いなのは狸だけだから別に狸が負けを認めてくれたらそれでいいの )
( なるべく死者?出させたくないだけだろ )
( そうとも言う )




◎結局、他人第一なんですよこの子。恐らく…。
20120312




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