守り神 | ナノ

守り神

60.記憶の矛盾

60/62






魔王召喚。

あの妖刀に書いてあった文字。あれは……




『魔王の…小槌……』




自分の声で目が覚めた。


魔王の小槌ってなんだろう。なんでそんなの知ってるんだろう。
妖刀なんて全く興味ない。

それともまた神としての能力かなんかか…。




「魔王の小槌を知っているのか」

『牛鬼…。狸野郎が持ってた刀。魔王召喚って書いてあったから多分…』




魔王召喚。そのままの意味と捉えて良いのか。
そうだとしたら、あれは厄介だと思う。

魔王の定義は曖昧だけど、少なくとも危ない何か。




「葵先輩!!お目覚めになりましたか!!」

「良かった…ぜよ…」

「葵は助けられる側だろ今回…」




氷麗ちゃん、犬神、リクオ…。ごめん。
今回は普通に迷惑かけた気がする。

それと、なんでいるんですか?




「無理するなと言ったばかりだろう!!」

『いや桜様ごめんなさいこれには訳が』

「問答無用!!」

『あー!!えーと…あ、あれ、桜の枝が折れそう…?』

「嘘を言うな嘘を。まぁ倒れるだけで済んだから良かったけど…。無理するんじゃないよ」

『…はい』




私のことなんかすぐ判るんだろうな、桜様は。
保護者だもんね、心配もしたくなるでしょ。

それもちゃんと判ってたのに。




『ごめんなさい…』

「もう良い。これからの態度で示せ」

『努力します』

「“はい”じゃないんだな…」




当たり前じゃないですか桜様。

私はそんな出来た奴じゃないから無理します。それ前提。
だから強くなることを決めた。




『それから桜様…私妖怪の喧嘩に首突っ込むの今回で最後にします』

「そうか」「「「はぁぁぁ!?」」」




痛い。声の音量が痛い。

そんなに驚かれるとは私考えてもみなかったよ。
でも決めたから。よほどのことがない限り関わらない。

だって人間と神ではあるけど…妖怪じゃないから。




『土地神のことは今でも許せない。でも奴良組が倒してくれるでしょ』

「簡単に言うなよ」

『危ないときは助ける、ちゃんと。でも大丈夫だと判断すれば何もしないから』




なら良いやとか言ってる小妖怪ども。
助けられればそれでいいんだね。

強くなるとか…考えれば奴良組の組としての価値はもっと大きくなるんだろうな。




『魔王の……小槌…』

「気になるのか?」

『知らないんですよ、そんな刀。なんで名前を知ってたのか…それが判らない』




そう言った私に、無理のし過ぎだとだけ言って桜様は姿を消した。







記憶の矛盾

( 知らないはずなのに… )




◎神様っぽい能力だといいなとか目論む管理人。
20120227




  back

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -