守り神
▼57.冷戦状態
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縄に縛り付けるのは無理だろうと判断した結果か、今は檻に閉じ込められてる。
……私…多分この檻も簡単に壊せると思うけど……。
瞬間移動…できるよね?
抜け出そうと思ったらいつでも抜け出せる。けど…。
『また…悪い癖…』
楽しんでる、自分がいる。犬神のときと、同じ。
守り神なのに、この間に神や…奴良組がやられたらどうするとか…もちろん考えてないわけじゃない。
だからこそ、あのとき決めた。
ちゃんと守るって。
都合の良いことに、神からの知らせは来てない。
犬神は式神を破った。それでも私が来なかったからか、身を案じてか奴良組に行ってる。
私は、安心できる。
『ねぇ狸』
「今は捕まってる状態なんだよ?少しも焦らないんだね」
『だって…リクオは多分あなたよりも強い』
一瞬歪んだ狸の顔を、私は見逃さない。
「……まぁ良い。君は知ってるかい?神を守っている神がいることを」
『(…もしかして私……?)』
「その神が動くことを前提に…元々の予定では奴良リクオに挨拶をしてから土地神を襲う予定だったけど挨拶する前に襲った…」
…確か昨日は学校での犬神で、一昨日は夜に会ったのと放課後に会ったのと…。
それ以前に土地神を襲ってた…。
三代目が決まってなくて…気配を探したら初代はさっき東京を出た。
このスピード戦じゃ奴良組はきっと荒れてる。
そうなったのは、神を守る役目にあるはずの私のせい…。あれ?
私は守り神であって神を守るとかそういうのじゃない。
じゃあ狸が言っている神は誰?神を守る神だなんて道理が立たない。
『誰?…その神様は』
「守り神なんていうから君かと思ったけど…違かったか。神様の君でも知らないなんてね」
……駄目だ限界。
私はやっぱり…あの狸が嫌いみたい。
『ねぇ狸…。あなた…私に殺される?』
「檻の中に居てよく言うね…。僕は君を過大評価してるんだよ?君が僕の百鬼に入れば奴良組なんかすぐに倒せるだろうし…」
『倒したいのなら…あなたの力で倒しなさいよ』
やるせない。そんな表情。
ひとまずここは私の勝ち。
冷戦状態
( リクオ君早く来ないかなぁ )
( 奴良リクオ…神様のお墨付きか )
◎事が急テンポだったのと順番間違ったのを言い訳する話(^p^)
20111210
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