守り神
▼56.捕われた神様
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とりあえず、知ってる土地神様のところは回って、何かあったらすぐ連絡してくださるよう頼んだ。
梅若丸様の場所は大丈夫だと思うけど。
太陽が頭の真上でギラギラ光る。
今日が終わるまであと半日。
その半日で何ができる…。
『犬神』
「?」
『今日行った神社とか全部覚えてる?』
「あぁ」
『それじゃあ違う神社見かけたら連絡ちょうだい』
犬神には一枚の札を渡した。
陰陽師でいう式神みたいな?神気で作った物だけど。
これを破ると私に連絡が来る。
やっぱりリクオ君よりリクオと話した方がいい。
としたら夜。それまでに強くならなきゃならない。
浮世絵町にもまだ私が知らない土地神だっているはず。
神気を感じても会ってない神様が何人かいたはずだから…。
それから四国妖怪の動きも気にしなきゃいけない。
もう土地神に手を出させない。
頭の中ごちゃごちゃ。
神気を意識したらいいのか妖怪を意識したらいいのか…。両方なんて、多分無理。
そんなにできた頭持ってない。
『で…あんたは何の用?』
「やっぱり神は侮れないか。君に捕まってもらおうと思ってね」
草むらから出てきた狸。
相変わらず嫌な笑み浮かべてる。
……狸の笑みは目が笑ってないから嫌いなのかな。
まぁそれはいい。問題はそれじゃない。
『あんたが持ってる刀…普通の刀じゃないよね』
「一種の妖刀だよ」
『へぇ…』
妖刀…いや、でも…。
きっと、神気が…神様が守ってくれるはず。妖気と神気は違うから。
妖刀はあくまでも妖怪を斬る刀。
私は妖怪じゃない。
狸が私を斬ろうとしてる。
でも神気が弾くから大丈夫…。
『(じゃない!!!)』
「下剋上って言葉…知ってるよね」
『神気が…!!』
神気が斬れた。たやすく。
その亀裂が閉じる前に狸は私の腕を掴んだ。
妖刀で神気が斬れた…?
ただたんに私が弱いだけ?力不足…?
妖怪に斬られそうになったんだ私……………。
「…神様には敬意を示してる。斬りはしないけど来てもらわないと」
『……………』
駄目だなんにも言えない。自分が嫌になる。
これから強くなろうとしてるのになんで今敗北感味あわなきゃいけないの?
そのまま私は例のビルに連れていかれた。
捕われた神様
◎犬神がどう動くか楽しみ=考えてない(え)
20111208
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