守り神
▼54.日常の確立
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犬神を連れて家まで来た。
お酒に潰れた桜様はもう駄目だと判断。諦めて家に帰ってきました。
『ごめんね、狭い家で』
「………は?」
『え?』
「いや…なんでもないぜよ」
あまりの狭さに声も出ないってか。
そりゃあねー…。
このアパートの最上階工事して全部部屋くっつけても…。奴良組の半分弱だからね。
1人じゃ十分だけど家族で住むのにはしんどかったと思う。それに奴良組見たあとじゃどんな家でも小さく感じるよね。
………リクオ君の家が大きいだけ?
「お前…感覚可笑しいな」
『(可笑しい!?)……どういう?』
「…もういいぜよ」
なんか貶されました?私。
まぁいいや。どうでも…。
今大事なのはそういうのじゃなくて、犬神のこれから。
妖怪と神の違いってやつも気になるけど……。やっぱり私はどっちも化け物にしか感じれない。
私元々ただの人間だしね。
『これからどうする?』
「…神使の仕事」
『って………なに?』
「…………」
桜様に聞いとけば良かった。って無理だけど。
苔姫様に聞くとか…?でも神と土地神じゃ全然違うし…。
犬神も真剣に考えてる。これだけでも……なんか嬉しいかも。
やっぱり今まで1人なのが淋しかったんだ。
『傍に居てくれるだけでいいや』
「それだけ…?」
『したいことがあったらしていいよ、他にも。駄目だと思ったことは全力で止めるけど』
「わかってるぜよ」
この後が大変だった。
布団とか1人暮らしだから押し入れにしまってたし、生活用品も必要最低限だけ。
押し入れあさったら、前までお母さんが使ってたものが出てきて少し安心はした。
お母さんが居たら、犬神は部屋に入れないだろうし、使う家具とかもなかった。
ちょっとだけお母さんに感謝。こういうことも想定してたってことにしとけばいい。
判らないことがどんどん増えてく。妖怪のことも神のことも。
だからダメなんだ。いつまでも引きずられてちゃ。
お母さんを…………忘れよう。
きっと楽になるから。
「…決めたぜよ」
『何が』
「神使の仕事……お前の護衛をする」
護衛…。リクオがされてるような……?私がされんの!?
『私そんな偉い感じじゃないよ!!!』
「君主を守んのは部下の役目ぜよ」
『あー………まぁ…。犬神の好きにしていいよ。奴良組と揉めないようにだけ宜しく』
犬神の満足そうな笑み。
……そっか。
犬神ってこういう妖怪なんだ。
前までは、犬神にとっての君主が狸。狸が絶対。
それが今は私に変わった。
私は今、犬神にとって絶対で大事な君主。私が狂ったら一緒に狂うだろうし、私が笑ったら多分一緒に笑う。
私が怪我とかしたら…きっと本気で心配してくれる。
『それじゃあ今日はこれで』
「おう」
『おやすみ』
* * *
朝起きたら犬神が不思議な格好をしてた。
『…………何それ』
「制服ぜよ」
見ればわかるけど、それくらい。
まさかさ、学生として学校来るつもり……?
『…どんな護衛するつもり?』
「…お前の傍に居るぜよ」
『………学校で?』
「学校で」
……怪しくね?
本気で怪しいって私。
どんな学生だ。常に護衛が隣にいるとか。パッと見彼氏じゃん?間違いなく…。
氷麗ちゃんとかどうしてんだろ…。
『…犬神』
「?」
『怪しいからさ、奴良組真似して行動しようか』
「……奴良組の?」
『そう』
「………………しょうがないぜよ」
『(あれ?今の間って…)』
少し納得いってないみたいだけど、肯定してくれたからまぁ許す←
学校面倒だなぁ…。
まぁ明日は休みだし今日頑張れば……。
『よし…行こっか、犬神』
「おう!」
新しい日常の確立
( もっかい言う。目立たないように… )
( わかってるぜよ )
◎20111107
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