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守り神

54.日常の確立

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犬神を連れて家まで来た。


お酒に潰れた桜様はもう駄目だと判断。諦めて家に帰ってきました。




『ごめんね、狭い家で』

「………は?」

『え?』

「いや…なんでもないぜよ」




あまりの狭さに声も出ないってか。

そりゃあねー…。
このアパートの最上階工事して全部部屋くっつけても…。奴良組の半分弱だからね。

1人じゃ十分だけど家族で住むのにはしんどかったと思う。それに奴良組見たあとじゃどんな家でも小さく感じるよね。
………リクオ君の家が大きいだけ?




「お前…感覚可笑しいな」

『(可笑しい!?)……どういう?』

「…もういいぜよ」




なんか貶されました?私。
まぁいいや。どうでも…。

今大事なのはそういうのじゃなくて、犬神のこれから。

妖怪と神の違いってやつも気になるけど……。やっぱり私はどっちも化け物にしか感じれない。
私元々ただの人間だしね。




『これからどうする?』

「…神使の仕事」

『って………なに?』

「…………」




桜様に聞いとけば良かった。って無理だけど。
苔姫様に聞くとか…?でも神と土地神じゃ全然違うし…。


犬神も真剣に考えてる。これだけでも……なんか嬉しいかも。

やっぱり今まで1人なのが淋しかったんだ。




『傍に居てくれるだけでいいや』

「それだけ…?」

『したいことがあったらしていいよ、他にも。駄目だと思ったことは全力で止めるけど』

「わかってるぜよ」




この後が大変だった。

布団とか1人暮らしだから押し入れにしまってたし、生活用品も必要最低限だけ。
押し入れあさったら、前までお母さんが使ってたものが出てきて少し安心はした。

お母さんが居たら、犬神は部屋に入れないだろうし、使う家具とかもなかった。
ちょっとだけお母さんに感謝。こういうことも想定してたってことにしとけばいい。

判らないことがどんどん増えてく。妖怪のことも神のことも。
だからダメなんだ。いつまでも引きずられてちゃ。
お母さんを…………忘れよう。

きっと楽になるから。




「…決めたぜよ」

『何が』

「神使の仕事……お前の護衛をする」




護衛…。リクオがされてるような……?私がされんの!?




『私そんな偉い感じじゃないよ!!!』

「君主を守んのは部下の役目ぜよ」

『あー………まぁ…。犬神の好きにしていいよ。奴良組と揉めないようにだけ宜しく』




犬神の満足そうな笑み。


……そっか。
犬神ってこういう妖怪なんだ。

前までは、犬神にとっての君主が狸。狸が絶対。
それが今は私に変わった。
私は今、犬神にとって絶対で大事な君主。私が狂ったら一緒に狂うだろうし、私が笑ったら多分一緒に笑う。

私が怪我とかしたら…きっと本気で心配してくれる。




『それじゃあ今日はこれで』

「おう」

『おやすみ』




 * * *




朝起きたら犬神が不思議な格好をしてた。




『…………何それ』

「制服ぜよ」




見ればわかるけど、それくらい。
まさかさ、学生として学校来るつもり……?




『…どんな護衛するつもり?』

「…お前の傍に居るぜよ」

『………学校で?』

「学校で」




……怪しくね?


本気で怪しいって私。
どんな学生だ。常に護衛が隣にいるとか。パッと見彼氏じゃん?間違いなく…。

氷麗ちゃんとかどうしてんだろ…。




『…犬神』

「?」

『怪しいからさ、奴良組真似して行動しようか』

「……奴良組の?」

『そう』

「………………しょうがないぜよ」

『(あれ?今の間って…)』




少し納得いってないみたいだけど、肯定してくれたからまぁ許す←

学校面倒だなぁ…。
まぁ明日は休みだし今日頑張れば……。




『よし…行こっか、犬神』

「おう!」








新しい日常の確立

( もっかい言う。目立たないように… )
( わかってるぜよ )




◎20111107




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