守り神
▼53.境界線
53/62
『(…神の役割……)』
奴良組初代と桜様は古い友人らしく(牛鬼みたいな)、今盛り上がってる。
「酒寄越せ酒ー!」なんて桜様の声が聞こえるのはきっと気のせいなんです。てゆうか気のせい。
気のせいじゃなかったら桜様は酒に弱いんでしょ。そんだけでしょ?
そんなおかげで狸が言ってた神の役割ってやつ聞けないし…。
『なんだか…な』
「どうかしたのか?」
『リクオ…』
リクオに言ってもきっと意味はない。
それなら言わなくてもいいと思う。
それにさ、リクオは一応後輩なんだから色々踏み込まれたくないよ。
学校でまで仲良くしたいとは思わないから。副委員長とカナちゃんで十分。
『なんでもないよ』
「…喋ってくれねーのか」
『ばれた?』
多分、自分でもびっくりする程嘘っぽく笑ってる。笑えないよ、こういうの。
あっさりばれちゃったんだもん。
リクオは凄い。
詳しく喋ったことなんてないのに。私のこと。
『…神様の話だよ』
「神様…か」
『何?気になっちゃう感じ?』
「気にはなるが…俺が知るべき話じゃねーんだろ?」
『そうだね』
「じゃあ…いい」
…なんかこのままにしとくのは…嫌だ。
『でも気に掛けてくれてありがと』
「!?///」
『あはは、お礼って言っちゃあなんですが』
「?」
『神気よ…我の示す者の傷を癒せ』
リクオの顔に手を近付けた。
犬神とやったとき、怪我したの知ってるんだから。
ついでに、さっきの台詞は漫画か何かの受け売り。
まだ神気は回復してないから…。言った方が楽だし。
『どんなに治りが早くても無理はしたら駄目。いい?』
「…あぁ」
後輩は後輩でも可愛い後輩…か。
可愛い後輩は可愛い後輩でも…妖怪…。
神と妖怪って何?
桜様はなんだかんだ言って妖怪と仲がいい(と思う)。今だってそのいい例なんだから。
正直な話、私からしたら迷惑なだけだけど。
初代だって桜様を拒まないし、牛鬼も桜様を拒まない。
リクオも…私を拒まない。
桜様だって妖怪を拒まないし私も狸以外は拒んでない。
でも桜様は間違いなく妖怪を下に見てる。
桜様の上にあるのは桜様より力のある神だけ。
…でも人間からしたら…
どっちも化け物だ。
…意味わかんない。
境界線
( 妖怪と神の違いって…なんなんだろう )
◎20111105
←◎→