守り神 | ナノ

守り神

53.境界線

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『(…神の役割……)』




奴良組初代と桜様は古い友人らしく(牛鬼みたいな)、今盛り上がってる。


「酒寄越せ酒ー!」なんて桜様の声が聞こえるのはきっと気のせいなんです。てゆうか気のせい。
気のせいじゃなかったら桜様は酒に弱いんでしょ。そんだけでしょ?

そんなおかげで狸が言ってた神の役割ってやつ聞けないし…。




『なんだか…な』

「どうかしたのか?」

『リクオ…』




リクオに言ってもきっと意味はない。
それなら言わなくてもいいと思う。

それにさ、リクオは一応後輩なんだから色々踏み込まれたくないよ。
学校でまで仲良くしたいとは思わないから。副委員長とカナちゃんで十分。




『なんでもないよ』

「…喋ってくれねーのか」

『ばれた?』




多分、自分でもびっくりする程嘘っぽく笑ってる。笑えないよ、こういうの。
あっさりばれちゃったんだもん。

リクオは凄い。
詳しく喋ったことなんてないのに。私のこと。




『…神様の話だよ』

「神様…か」

『何?気になっちゃう感じ?』

「気にはなるが…俺が知るべき話じゃねーんだろ?」

『そうだね』

「じゃあ…いい」




…なんかこのままにしとくのは…嫌だ。




『でも気に掛けてくれてありがと』

「!?///」

『あはは、お礼って言っちゃあなんですが』

「?」

『神気よ…我の示す者の傷を癒せ』




リクオの顔に手を近付けた。
犬神とやったとき、怪我したの知ってるんだから。

ついでに、さっきの台詞は漫画か何かの受け売り。
まだ神気は回復してないから…。言った方が楽だし。




『どんなに治りが早くても無理はしたら駄目。いい?』

「…あぁ」




後輩は後輩でも可愛い後輩…か。
可愛い後輩は可愛い後輩でも…妖怪…。

神と妖怪って何?
桜様はなんだかんだ言って妖怪と仲がいい(と思う)。今だってそのいい例なんだから。
正直な話、私からしたら迷惑なだけだけど。


初代だって桜様を拒まないし、牛鬼も桜様を拒まない。
リクオも…私を拒まない。

桜様だって妖怪を拒まないし私も狸以外は拒んでない。


でも桜様は間違いなく妖怪を下に見てる。
桜様の上にあるのは桜様より力のある神だけ。


…でも人間からしたら…






どっちも化け物だ。

…意味わかんない。





境界線

( 妖怪と神の違いって…なんなんだろう )




◎20111105




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