守り神 | ナノ

守り神

50.ズレてる

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妖気がたくさん溢れてる。
こんなとこ、1つしか知らない。




『リクオ君…』


「リクオな」




あ、もう夜なんだ。



やっぱ力使い過ぎた。
神化できる気がしない。




『犬神は…此処から北に4メートル、東に10メートルってとこ?』


「…さすがだな」


『よっしゃ』




感覚だけは鈍ってない。
寧ろ研ぎ澄まされてる感じ。




『…まぁ…いいや。犬神連れてきてよ』


「わーったよ」




なんかあたし変。
自分が自分じゃないみたい。




『なんの用ですか』


「ほぅ、このぬらりひょんの畏れを見抜くか。お嬢ちゃん」


『…リクオの親?』




襖の後ろに妖気がした。
とても小さいけど。



見た目は…なんか妖しい感じ。
妖怪だから当たり前か。



でも、雰囲気がリクオそっくり。



いつだかの牛鬼と梅若丸様みたい。




「リクオの祖父じゃ。体の調子はどうじゃい?」


『え?』


「身体と精神がズレてる気がしてな」




あぁ、それで。




『変な感じはしてたんですけど…ずれ…』




なんでだろう。
昼間力使い過ぎたから?



それともただ単に時が来ただけ?
私には何が起こるか判らないから。




「どーせ桜ノ神に会うんじゃろ?そのときにでも聞け」


『はぁ…』




ずれ。
小さく言ってみた。



これって冷静に考えたら肉体と魂がずれてるってことでしょ。
なのに全く怖くない。



逆に普通な気がして。



大丈夫だと思った。
私がそう思ったんだから、やっぱり大丈夫なんだと思う。




「守り神…きっと大変なことがあるじゃろうな。わしは色々お前さんに教えることができんが…。
精々頑張れ」


『…はい』









ズレてる




◎111009




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