守り神
▼48.思いが
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くらっ───
「大丈夫か!?」
『あ…大丈夫』
少し無理しすぎたかも。
すぐに人間の姿に戻っちゃいそう。
でもまだ駄目。
狸がいる。
『狸…。あなたにとって犬神は何…?』
「へぇ…僕の場所が判ったんだ…」
目の前に沢山葉が降ってきた。
1つ1つが妖気を持ってる。
狸っぽいというか…。
古くさいよ←
現れた狸は私に手を差し出した。
『…なんのつもり?』
「君は面白い。神なのにこんなにも自由だ。役割を忘れたみたいに」
役割?
「もちろん役割はあるよね?役割があるから神は己の力がある。そのはずだよ?」
役割…。
そんなの知らない。
だって私…桜様と神の話なんて詳しくしたことないし…。
私が知ってることは…。
私の存在理由だけだ。
『…私に役割なんてない。きっと誰よりも自由な神なの。私の力は己の力じゃないからさ』
言ってから嘘っぽく笑う。
自分のこと、ちゃんと判ってないのに。
自分を人に語るとかいい度胸してるよね。
ちゃんと、判ってることもあるけど。
『私は百鬼に入ることを禁止されてる。奴良組にだって入らない。』
「じゃあなぜ此処に?」
『私は守り神って名前を誇りに思ってる。誇りに思ってる名を汚したくない』
「変なプライドってとこか」
否定はしない。
でもプライドとかじゃなくて、私がそうしたいんだよ。
矛盾してるかな。
あと本題。
『犬神はどうするの?』
「あぁ、君にあげるよ」
「!?」
犬神から憎悪が伝わる。
私こんなのも判るんだ。
でも犬神、喋っちゃだめだよ。
君に決定権はない。
そう自分で判ってるんでしょ。
「犬神…僕を憎め。それから…僕と犬神を引き離した奴良組を…もっと憎め」
そう言いながら狸はまた枯葉に戻っていった。
思いが、伝わった
(犬を見てたら苦しくなった)
◎110921
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