守り神 | ナノ

守り神

48.思いが

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くらっ───




「大丈夫か!?」


『あ…大丈夫』




少し無理しすぎたかも。
すぐに人間の姿に戻っちゃいそう。



でもまだ駄目。
狸がいる。




『狸…。あなたにとって犬神は何…?』


「へぇ…僕の場所が判ったんだ…」




目の前に沢山葉が降ってきた。
1つ1つが妖気を持ってる。



狸っぽいというか…。
古くさいよ←



現れた狸は私に手を差し出した。




『…なんのつもり?』


「君は面白い。神なのにこんなにも自由だ。役割を忘れたみたいに」




役割?




「もちろん役割はあるよね?役割があるから神は己の力がある。そのはずだよ?」




役割…。
そんなの知らない。



だって私…桜様と神の話なんて詳しくしたことないし…。



私が知ってることは…。
私の存在理由だけだ。




『…私に役割なんてない。きっと誰よりも自由な神なの。私の力は己の力じゃないからさ』




言ってから嘘っぽく笑う。



自分のこと、ちゃんと判ってないのに。
自分を人に語るとかいい度胸してるよね。



ちゃんと、判ってることもあるけど。




『私は百鬼に入ることを禁止されてる。奴良組にだって入らない。』


「じゃあなぜ此処に?」


『私は守り神って名前を誇りに思ってる。誇りに思ってる名を汚したくない』


「変なプライドってとこか」




否定はしない。
でもプライドとかじゃなくて、私がそうしたいんだよ。



矛盾してるかな。



あと本題。




『犬神はどうするの?』


「あぁ、君にあげるよ」


「!?」




犬神から憎悪が伝わる。
私こんなのも判るんだ。



でも犬神、喋っちゃだめだよ。
君に決定権はない。
そう自分で判ってるんでしょ。




「犬神…僕を憎め。それから…僕と犬神を引き離した奴良組を…もっと憎め」




そう言いながら狸はまた枯葉に戻っていった。









思いが、伝わった

(犬を見てたら苦しくなった)




◎110921




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