守り神
▼47.限度を超えた
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『本当はね、今すぐ貴方を殺してもいい。でもそれは私の役目じゃない』
少しだけ、リクオを見た。
一瞬、俺!?みたいな顔した。
しっかりしてよ、若頭。
『ただね、少し気になることがあるの』
「なんだい?」
『神様にタメ語なんて良いご身分ね。
その犬───殺すつもりでしょ?』
「「「!?」」」
犬を始め、奴良組面々の息を呑む音が聞こえた。
狸だけは飄々としてるけど。
全く…気に食わないなぁもう。
性的に受け付けないとはこういうことみたい。
「流石と言っておこうか。でも君には関係ない。犬神は僕の部下だよ」
『関係あるんだな、それが』
「は?」
だってあたし、約束したし。
覚えてるよね、犬はもちろん。
『守るって決めたから、犬のこと』
「馬鹿馬鹿しい」
『…神様を馬鹿にしたら天罰が当たるよ?桜様とかきっと凄い罰くれるだろうな』
くすっと笑う。
まぁそうやって笑ってられるのも今のうちか。
もうすぐ清継君登場なんだよね。
一か八か…。
妖怪全員とあたし含めて校庭に移動なんてことできるかな。
「ふん…まぁいい。犬神は好きにしてくれていい」
『え?』
「そいつは捨て犬だ」
『「!?」』
しばらく動けなかった。
狸…。
こいつとんでもない大馬鹿者だ。
いつか1人になる。
「それじゃあまた会おう、奴良君、守り神様?」
すっと消えていった狸。
文句の1つや2つ言いたかったなぁ。
様?ってなんだ様?って。
『あ』
凄く嫌な予感がする。
色んなことに集中しすぎて清継君が何言ってんのかわかんない。
でも…。
スクリーンが破ける音がした。
あたしたちステージの上に全員集合だし…。
もう…しょうがない。
『移動!!!!』
いつもだったらこんなことないのに。
どうしたんだろ。
私と、奴良組と犬の下に真っ白な光の穴が現れて…
吸い込まれていった。
限度を超えた
(凄い達成感)
(でもただの力の使いすぎ)
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