守り神
▼43.見えなくても感じるもの
43/62
昨日は疲れた。
あんな展開普通ある?
正体ばれるわ、拉致されるわ、四国妖怪いちいちウザイ。
主に狸。
狸だけでも倒してたら少しくらい気も楽になったかも。
「ねぇ葵ー。今日委員会何するー?」
『…副委員長抜きでトランプする』
「はぁ!?」
冗談だって、って軽く受け流す。
『それよりもさ、今日は集会。決めるんでしょ?次期生徒会長』
「あー、そーだった、面倒」
私たち風紀にとって行事はひたすら面倒。
生徒が喋ってたり、ふざけてたりしたら全部私たちが注意。
先生が面倒なだけでしょ。
で、ついでにもっと面倒なことに四国妖怪がいる。
校内に。
『私、別行動とる。部外者混じってる』
「校内に?」
『うん』
ニコっと笑って走って行ったから、了解ってとっていいと思う。
ちょっと奴良組と接触してみよ。
ちょうど昼休みだし…屋上に居るはず。
『失礼しまーす、奴良組の面々にちょいとお話が。いや、あの殺気とかいらないから』
なんか凄い敵扱いされてる。
昨日初めて会ったに近いのに酷い扱いだよね。
あっ河童、お皿乾いてるよ。
『あ、そういえば君。今から大事な話するから出てってくれない?』
「「「!?」」」
「!?…あ…あぁ」
あれが正真正銘四国妖怪。
奴良組の連中は存在すら気付いてなかったみたいだけど。
妖怪のくせして鈍いでしょ。
『で、話っていうのは、簡潔にさっきの男の子四国妖怪だよってやつ』
「「「はぁぁぁ!?」」」
「…何言ってるんですか葵せん…伊勢葵!!」
『だから、さっきの妖怪だって。それに、あたし全生徒の顔と名前記憶してるし』
あー面倒。
なに言ってるんですかじゃないよ、氷麗ちゃん。
すっかり信用なくした。
本当だったら氷麗ちゃんも部外者だから、風紀として追い出したいんだから。
『とりあえずリクオ君のこと、しっかり守るんだよ。…側近として』
私は生徒守からーって言いながら校内に入った。
さっきのはとりあえず放置でいいかなぁ。
てゆうか、さっきの犬、この前の夜会ったし。
「あ、居た!葵、見つかった?」
副委員長の明るい声が聞こえた。
見つけた?
あぁ、部外者のこと。
『泳がせる。選挙で公に出てくれるはずだから』
「んなっ!なんて適当な…」
大丈夫、危害は加えさせない。
だってさ、私、守り神だから。
「なにニヤニヤしてんの?」
『……いや…トランプ捨てようかなって、会議の邪魔だし』
っていうのは冗談。
どうやったら…妖怪も人間も守れるか考えてたんだよ。
それは信用
(奴良組からの信用はなくても)
(副委員長が信用してくれてるのは知ってるよ?)
◎2話合体
←◎→