守り神
▼36.お互いの正体
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思ってた以上に広い。
なんだこの広さ。
『…若頭いない?』
「え?」
『会ったことあるから』
リクオくんが考える仕草をする。
あれ、何か地雷踏んだ?
「若頭は…僕です」
『え!?全然違うじゃん』
髪白くて身長大きくて目の色黄色で…。
リクオくんは茶色いし身長低いし…。
「夜の僕に会ったことあるんですね、先輩は」
『…多分』
って言うしか手段ないよ。
「先輩、今日忙しいですか?」
『一応大丈夫』
「それじゃあ夜になるまでいてください。夜の僕とのが話しやすいんですよね」
『うん』
あー、やっぱいい子。
あたしみたいな謎の生命体にここまで気を遣ってくれるなんて…。
『ありがと、色々よくしてくれて。大好きだよ、リクオくん』
「えっあ、ありがとうございます…///」
あれ、顔赤いような?
温暖化だもんね、熱にやられたか。
「もうすぐ…時間です」
あたしが瞬きをしている間に、リクオくんは私の知ってる若頭になってた。
「この姿では初めて…だと思うんだが…。葵、会いたかった…」
『へ?ふわぁ!』
ちょっと待とう。
なんであたし抱き締められてるの…?
え、リクオくん?
とりあえず言わなきゃならないこと。
『…あたしは、貴方に会うのが初めてではない』
どういうことだとでも言いたさげな…。
あたしも神化するべきかなぁ。
目を閉じる。
やっぱり、神化してると落ち着く。
実は妖怪ってやつが怖かった。
でもこの姿なら大丈夫。
『…これが夜のあたし』
「守り…神……?」
ふふ、と小さく笑う。
『びっくりした?』
「そりゃあ…な」
しばらく沈黙が続く。
あたしが妖気わかる理由、すぐわかっちゃったもんね。
帰っていいかな、寧ろ。
「…奴良組に来ねぇか?」
『…はい?』
今こいつなんて言った?
『…あたし妖怪じゃないんだけど、リクオくん』
「神様がいても可笑しかねぇだろ?」
可笑しいと思うな、あたしは。
だって違う。
存在が。
『…一応保護者に聞いてみる』
満面の笑み。
そんなにあたしを百鬼に入れたいわけ?
とりあえず。
『桜の木、ある?』
「こっちだ」
桜さまと連絡とれるかは謎。
だけど一応可能性あるし。
「これだ」
『わっ…』
綺麗…。
妖怪屋敷にあるからかな、妖艶というか…。
とにかく綺麗。
『桜さま、いらっしゃいますか?お話がしたいのです』
神気を感じた。
来る。
「なんだ、守り。何故こんなところにいる?」
『色々ヘマやらかして拉致されたんです。それより奴良組へご招待されたんですけどどうすれば…』
桜さまは溜め息1個。
「お前は曲がりなりにも神だ。そんなことしたら他の神々が黙ってないぞ」
『…ってことで無理、リクオくん』
リクオくんも溜め息。
「まぁ機会があったら一緒に行動するくらい許す。一応葵も…っ」
いきなり桜さまが喋るのやめた。
どうしたんだろ…。
『?』
「それじゃあなっ…」
…あれ、隠し事されてる。
お互いの正体
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