守り神 | ナノ

守り神

30.嫌いじゃない

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神気が結界になって守ってくれる。
だから大丈夫。



でもこういうのってやっぱり恐い。




───キーン…




『え?』




確かに、私に刀が触れることはなかった。
でも守ったのは神気じゃない。




「なぜ止める…?」


「こいつが言ってるのはお前の問題なんじゃないのかい、牛鬼」




火事の妖怪…。
あれ、なんかカジノ妖怪みたい。



まぁいっか。




『ありがと…。牛鬼。貴方こんな反乱起こしといてまだ…迷ってるでしょ。
これで良かったのかどうなのか。それを梅若丸様も悲しく思っておられる…』


「…本当に神なのか?」




色々言い当てたっぽい。
なんか凄いきょとん顔。




『そうだって「こいつはちゃんとした神だ」…桜様?』




凄くいい笑顔を私たちに向けてきた。




「桜ノ神…様ですか!?」




牛鬼から敬語が出た。
私には遣わなかったし。



てゆうか信用されてなかったし。




「久しぶりだな、牛鬼。守り神は私たち神にとって今や、一番大切な存在なんだ。
守りを敵にしたら…私は勿論苔姫なども敵に回すだろう。」




いつから貴方は私を守りと呼ぶようになりましたか。
自分勝手にも程がある。



明らか桜様のが凄い神だけど…梅若丸様を見習ってほしいよ。




「牛鬼!何をしている!?」




新たに妖怪が来る。
妖怪に関わるなって言ってた桜様ば全力で牛鬼と知り合いだよね。




「奴良組の若造が来るな。古株と関わるのはいいが…。新たに妖怪と顔見知りになるのは気が引ける。
こっちは帰らせてもらうよ。奴良組若頭は桜の上にあんまり乗ってくれるなよ」




桜様は消えた。
いや、消えてない。



神気がある…!



今すぐ追いかけなきゃいけない気がする。
でも私にはまだやらなきゃいけないことが。




『妖怪には普通の神も見える。だから貴方は梅若丸の祠に行くべき。
出来るならすぐに…』




ってその体じゃ無理だよね。



だから願う。
牛鬼とカジノ妖怪の傷が治るようにって。



真っ白い眩しい光。



彼らが目を瞑っている間に屋敷から私は出た。



きっと傷は大丈夫。



とりあえず。




『桜様はどうしてここに?』


「なぜ?さっき牛鬼が桜ノ神と言っただろう?それが私の正式名ってやつだ。
そんなもののお陰なのか桜がある場所には行ける。
拠点は祠だがな」




今桜様が寄りかかる木がそうみたい。
ちょっと羨ましいな、その能力。




『桜様…私…』




妖怪と関わって良かったのですか?



そう言いたかった。
でも言えなかった。



運命って割り切れてる自分もいたから。




「私はもう帰る。早く石を返せ」


『え?あ、ありがとうございました』




よく見ると凄く綺麗な石。
今まで毎日見てて全く気付かなかった。




「じゃあな。またあっちで」




私は何も言わなかった。
そっと笑った。









嫌いじゃない

(桜様って実は優しいよね)
(…聞こえてるぞ?)
(ひっ!!!)




◎4話合体




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