守り神
▼29.牛鬼と会い
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そっと屋敷に入った。
妖気ハンパないよ、これ。
…なんとなくさ、梅若丸様を感じるんだよね。
牛鬼も元は梅若丸様だから雰囲気一緒ってわけか。
その雰囲気を辿って着いた部屋。
刀がぶつかる音がする。
牛鬼と誰かが戦ってるんだ。
そっと入って…てのは無理か。
今の神気は結構な存在感放ってると思うし。
それじゃあ…。
『止めなさい』
堂々と部屋に侵入しちゃったわけで。
視線痛いっつーの。
「お前あの時の…」
いつだか火事の家で会った妖怪だ。
同じ妖怪と絡むのは嫌なんだけど。
まぁ…私は牛鬼に用があるんだからスルーしても全然OKってことで。
『牛鬼、よく聞いて。梅若丸の祠にいらっしゃる梅若丸様に会った』
「…何を言ってるんだ?何故私の名を…」
まるで信じられてないし。
自己紹介先決か。
『私は守り神。一種の神ってやつ。それ以上は何も言えない。
けど…梅若丸様と話したから貴方を知ってるの』
まだ解らないって顔してるよ、牛鬼は。
『とにかく、もう止めて。そこの妖怪が傷ついて、梅若丸様が傷ついて、貴方までも傷ついてる。
意味のあることとは思えない』
と、鈍い白い光が目の前を過る。
刀だ。
「神?神の存在など私は信じていない。仮にもし本当に神だったとして…。
貴様に色々言われる筋合いはない。これは組の問題だ」
牛鬼の鋭い眼球が私を捕える。
刀も徐々に近づく。
帰れって意味か。
私は簡単に帰れないんだけどさ。
だから一歩も退かなかった。
これ、牛鬼からしたら面白くないでしょ。
更に刀が近づく。
「斬られたいのか?」
くすっと笑ってみたりする。
『斬れるもんなら…ね』
牛鬼が刀を振りかざした。
牛鬼と会い
◎3話合体
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