守り神 | ナノ

守り神

29.牛鬼と会い

29/62





そっと屋敷に入った。
妖気ハンパないよ、これ。



…なんとなくさ、梅若丸様を感じるんだよね。
牛鬼も元は梅若丸様だから雰囲気一緒ってわけか。



その雰囲気を辿って着いた部屋。



刀がぶつかる音がする。
牛鬼と誰かが戦ってるんだ。



そっと入って…てのは無理か。



今の神気は結構な存在感放ってると思うし。
それじゃあ…。




『止めなさい』




堂々と部屋に侵入しちゃったわけで。
視線痛いっつーの。




「お前あの時の…」




いつだか火事の家で会った妖怪だ。
同じ妖怪と絡むのは嫌なんだけど。



まぁ…私は牛鬼に用があるんだからスルーしても全然OKってことで。




『牛鬼、よく聞いて。梅若丸の祠にいらっしゃる梅若丸様に会った』


「…何を言ってるんだ?何故私の名を…」




まるで信じられてないし。
自己紹介先決か。




『私は守り神。一種の神ってやつ。それ以上は何も言えない。
けど…梅若丸様と話したから貴方を知ってるの』




まだ解らないって顔してるよ、牛鬼は。




『とにかく、もう止めて。そこの妖怪が傷ついて、梅若丸様が傷ついて、貴方までも傷ついてる。
意味のあることとは思えない』




と、鈍い白い光が目の前を過る。
刀だ。




「神?神の存在など私は信じていない。仮にもし本当に神だったとして…。
貴様に色々言われる筋合いはない。これは組の問題だ」




牛鬼の鋭い眼球が私を捕える。
刀も徐々に近づく。



帰れって意味か。
私は簡単に帰れないんだけどさ。



だから一歩も退かなかった。



これ、牛鬼からしたら面白くないでしょ。



更に刀が近づく。




「斬られたいのか?」




くすっと笑ってみたりする。




『斬れるもんなら…ね』




牛鬼が刀を振りかざした。









牛鬼と会い




◎3話合体




  back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -