守り神
▼28.意地悪でも優しい
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梅若丸様と別れて数分。
牛鬼がいると思われる屋敷に着いた。
瞬間移動なんてしなくても移動速度は速いわけで。
とにかく妖気が凄い。
これが梅若丸様の今っていうのはちょっと意外。
『さて…と』
とりあえず入りますか。
「おい、葵」
『桜様どうかいたしましたか?…え?』
条件反射で普通に返事しちゃった。
私の真後ろに立っていたのは他の誰でもない。
桜様だった。
絶対怒られる…。
なんで此処にいんの!?
「此処は妖気が溢れているが…どうするつもりだ?」
『そのー…』
判ってる。
妖怪と関わるなって話をしたいんでしょ。
「行きたきゃ行っていいぞ」
『やっぱりそうですよね…え?』
こんなのばっかだよ、なんか。
行っていいの?
「ただ土地神がいないから神気が少ない。だから特別にこれを貸してやる」
桜様が私に渡したのはネックレス。
質素な紐が祠に埋めてある桜色の石に通っていた。
「とにかく付けろ」
桜様って名前に相応しくない乱暴な口調。
最初は苦手だったけど…桜って木の強さなんだって今は思う。
成長したよ、多分。
『あ…』
いつもと同じ神気の量を感じる。
黄色のオーラの量もいつも通りみたい。
「好きなようにしてきたらいい」
桜様は何故か意地悪に笑った。
意地悪でも優しい
◎2話合体!
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