ひびの入った
▼3.笑顔っていい
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いきなり拳飛んできた。
立派な空気の音と共に。
一応避けたけど…。
『ちょっ、タンマ!阿伏兎竹刀ちょうだい!!』
空手も出来るけど剣道のが得意な人種でして。
無事キャッチし、身構える。
『神威くん、いきなりすぎない?』
「先手必勝でしょ?」
あー、いい笑顔。
無駄に苛つくわ。
そもそも喧嘩するつもりなかったんだけどなぁ。
『まぁ…喧嘩開始で。私、本気出さないから』
「それじゃつまらない。俺が渚の本気、出させるよ」
『…できるもんならやってみな』
阿伏兎が溜め息をつく。
うん、知ってるよ。
こういうので私が本気出さないこと、滅多にないよね。
てか絶対本気になる。
わかってるからその顔やめよっか、阿伏兎。
神威からは拳やら蹴りやらいろんな物が飛んでくる。
ひたすら守る。
隙をついて攻撃しないと攻められて終わりだからなぁ。
なんとか攻めないと。
神威の息が切れはじめた。
連続的に攻撃してきたもんね、うん。
『今度は私から行くよ』
ぱしーん
言ったそばから神威の顔めがけて竹刀をおろした。
見事にあたったね。
気持ちいい音した。
「…ありゃ、負けちゃった」
『え、この程度で神威の負けでいいの?』
「だってこっちは攻撃成功してないし」
『…そう……』
「また喧嘩しようよ、和」
神威が笑う。
私実は面食いかな。
神威の笑顔に…惹かれた。
笑顔っていい
(どうかした?)
(な、なんでもない!!)
◎110705
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