ひびの入った
▼26.願うことは変わらない
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ちゃんと、学校にいる。行くって決めたのはあたしだし。
ビックイベントがあるのは今日の放課後なんだから、それまでは普通に過ごそう。
…………って思ってた。
「渚嬢!」
「お元気のようで何よりです……!!!」
「高杉は一度も来てません」
「さすが渚嬢っす」
『だぁぁぁぁ!煩い!!今授業中!!!』
「お前が一番煩いわ鴻山!!」
冷ややかな視線をハゲに向けたあと、屋上に向かった。
なんだかんだ言って、あそこはもうお気に入りの場所。阿伏兎が居なければベスト。
『たのもー』
「和?」
『……神威…』
…あれ、あたし…たち、両思い……?
昨日電話で…あー、忘れてたすっかり。師匠のことで頭いっぱいで。
「今俺以外の男のこと考えなかった?」
『!!…どうして?』
「わかるよ、好きな女のことくらい」
『!!!!!』
「照れてるし」
『うっさい…』
とか言いながらも、神威の横まで行ったのは好きなんだろうな。やっぱり。
遠慮せずに神威の近くに居れる。それが嬉しくて…。
浮かれてちゃダメなのに、浮かれちゃう。
「怖い顔してるね」
『今日はね、言うために来たから』
「なにを?」
『言うのがしんどいこと』
「ふーん」
なら言わなきゃいいのに、って神威は言った。
でもそれじゃ、意味ないから。
『逃げてちゃダメだと思って』
「……和は強いね」
『強くなりたいから逃げるのをやめたの。今回のことに関してはもう逃げない』
「他のことは?」
『どうだろ』
逃げるかもしれない…よね。逃げないのが理想だけどさ。
でもあたしは師匠を超さないといけない。
師匠が弟子にくれた課題だから。
逃げたくない。
「俺も強くなるよ」
『え?』
「俺は俺より強い奴を負かしたい。それに和が強くなるんなら俺も強くなんないとね」
『神威…』
あたしは…強くなりたい。
願うことは変わらない
( 人って欲望の塊だよね。常に願ってる )
( ロマンに溢れてるって言おうよ )
( …欲望の種類にもよるって思っとく )
◎意味わからん
20111112
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