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ひびの入った

22.ざまぁみろ

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制服に着替えて、家を飛び出してた。
木刀も持って。


あたしに剣道を教えてくれた…師匠に会いたい。

もちろん空手を教えてくれた先生にも感謝してる。
でもその人は空手しか教えてくれなかった。




『(何処…だろ…。)』




ずっと昔住んでた地域。
かなり変わってる。


あたしが住んでた家は他の誰かの物になってた。
…そりゃあそうだよね。
お母さんたちも…







嫌な思い出のある家を離れたい。

その嫌な思い出を作ったのは紛れもなくあたし。
色々文句言えるような、そんな立場じゃない。




『(あ…)』




公園あった…!!
剣道を教えてもらった公園…。

昔は空き地同然だったのに今じゃこんなに遊具があるんだ。ちょっとだけ、悲しい気もするけど。




「君1人?」

『!!!』

「学校抜け出してきちゃった感じ?」

「そうに決まってんじゃん。制服来てんだから」




そういう自分たちも十分制服来てんじゃん。
あたし抜け出してなんかないし。




「俺たちと楽しいことしない?」

「どうせ暇でしょ、学校サボってんだから」

「なんか言えよ」




それが言えないんですけど。

え、どうしよう逃げるべき?でもこの人たち諦める相手に見える?
あたしには見えない。

…暴力していいですか?
いやでもなぁ…公共施設なんだよ此処。それが問題。


…弱い相手は殺気だけでも恐れる。
殺気も判らない奴は相手にするべきではない。

いつだか自分でそう言ってたんだっけ。
誰かにそう言われたんだっけ。


覚えてない…けど…。やってみる…か。




「!!!」




1人、殺気くらいは判るらしい。他はずっとニヤついてる。

でも1人判ればそれで十分。




「コイツ…ヤバイぞ」

「は?」

「何言って…」




物分かり悪いよこの人たち。


ついでに、意識はされてなかったと思う、校章のバッジを指差した。
夜兎工業…だよ?




「!…こいつもしかして夜兎の奴らを入学早々1日で倒したっていう…」

「渚…!?」

「黒髪のポニーテールに木刀…」

「一致してんじゃねーか」

「この前3Zの高杉を負かしたんだろ?」

「適うわけねぇ!逃げんぞ」




奴らは一目散に走ってった。




『(ざまぁ)』




…あたしだいぶ荒れてる。ざまぁなんて…。こんな小さいことで思わなかったのに。


寧ろ鴻山和、ざまぁみろ。
お前は弱い。
運もない。

だって…師匠に会いにきたのに。


銀魂高校かな、さっきの人たち。
高杉のこと言ってたしね。


…ざまぁみろ鴻山和。
自分が判ってない。あたしの知名度ってそんなにあったんだ。






ざまぁみろ

( 何してんだろあたし )


( …阿伏兎。何怖い顔してんの )
( 渚嬢が…消えた… )
( !? )




◎2011




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