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ひびの入った

19.精神的ショック

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『…ん』




あれ…保健室?



高杉と戦うとか言って多分屋上から飛び降りて…。
どうしたっけ。



あ。
阿伏兎ぼこった。



その後気絶した気がする。




「調子はどう?和」


『……っ…?』




神威って言おうとした。




『っ…っ、…っ……』




…やっぱり言えない。



壊れるとか言ったけど身体が壊れるなんて思ってないよ。
精神的に壊れればいいと思ってた。



こんなに成程暴れた?




「…声出ない?」




頷いた。



こんなの望んでない。
壊れようとか思った自分が馬鹿馬鹿しいじゃん。
みんなに話そうとか思って壊れるって決めたのに…。



言えない…。



あと阿伏兎の容態だって気になる。
きっと強烈な拳見舞ったに違いない。



あー、あたし最悪の幼なじみだ。




「はい、携帯」


『!!』




手始めにありがと、って入力した。
神威は笑ってくれた。



携帯あれば生きていける気がする。



次に、阿伏兎と高杉は?、と入力。
高杉が元気だったら多分泣ける気がする。
本当に損しかしてない。




「高杉は鬼兵隊に。阿伏兎は今寝てる。
和さ、阿伏兎を殴ってる途中で手加減してたの覚えてる?」




手加減…私が?
あの状態で?



これが本当なら嬉しい。



昔は、本当に全力で阿伏兎殴ってその後に“阿伏兎を殴った”って気が付いて…。
阿伏兎ごめんなんて言いながら泣いてた。



本当に、あの人たちを傷つけることしか考えてなかった…。



でも…。



私、手加減できてた?
そう入力してから神威に見せる。




「うん。まぁ殴りながら気絶したっていうのが正しいけど」




褒めてんのか貶してんのか。
でも良かった。



普通に…良かった。



全部が損じゃなかったし。



さてと…声はどうしようかな。
病院は嫌い。
変な目で見られるし(不良だから)、警察なんて呼ばれたらかなり困る。



誰か知り合いに医者みたいな人居なかったかなぁ…。



とりあえずのど飴でも舐めときますか。
気休めにもなりませんが。




「和…大人しくしてて。精神的ショックだってあるかもしれないから、治る可能性だってある」




小さく頷く。



こうやって側に人が居るのが嬉しくて。




「あぁ、もうひとつ」


『?』


「どうやら俺は和が好きみたいだよ?」


『……!?』




ちょっと待って神威君!!
つーか声出ねーよ!!!
なんで保健室出てくの!?



今好きって言った…?



もうやだ。
ショック大き過ぎる。



もし治るのが遅くなったら神威の所為なんだから。









精神的ショック

(和の返事はどうかな)
(神威さんお嬢に告ったんすか!?)
(うん)

(…好きって言えなかった)




◎山場がありすぎて逆にない(^p^)
111009




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