ひびの入った | ナノ

ひびの入った

17.遠い存在

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「おいてめー…挨拶もなしに『馬鹿』…は?」


『挨拶しようとする奴はたいてい馬鹿。頭脳じゃ勝てない』




言った直後、コイツは腹に蹴りを入れてきた。
この前会ったときと全然違う。
この殺気は…。




「クク…てめー…面白ぇじゃねぇか」


『てめーじゃない。喧嘩売ってる相手の名前は覚えてた方がいい』


「…肝に命じておく」




それから奴はニヤっと笑った。
なに考えてんのかわかんねぇ。



…なんで俺1人で来たんだ、もし負けたら…。



まぁ…




「負けねぇけどな!」




拳をお見舞いしてやる。
やられっぱなしじゃ面白くねぇだろ?




「甘いね」


「!?」


「渚はそんなの簡単に避けるよ」




三つ編みが喋りだしたと思ったらアレだ。
まんまと拳を掴まれた。




『…勿体ない』


「は?」


「拳は立派だよ、高杉。でも…腕の使い方が中途半端…ってことでしょ?」


『…気に入った』


「そりゃどーも」




…とんだ茶番だ。
俺はお前らが仲良くなるのを見にきたわけじゃねぇ。



まだ渚には傷1つつけてない。
なんなんだコイツ。









遠い存在


(まだ体は動く)

(それなのに俺は)

(負けを確信してしまったらしい)




◎110920




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