ひびの入った | ナノ

ひびの入った

15.飛んだ

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『あ、高杉』


「この前のそろばん野郎か」




銀魂高校一の不良。
ついでにあそこらへんを統括してるんだっけ、鬼兵隊。



殺り甲斐はあるかな。




『決めた。あたし今から高杉倒す』


「1番の本気の相手かい?」


『うん、楽しそうだし。
それに…本気のあたしならあの殺気はそそられると思う』


「そそられるって…嫌な言い方するな」


『それじゃ誘われる。てか感覚なんかわかんないよ、あたしじゃないし』




ごもっともだと言って阿伏兎は屋上を出てった。



うん、どうしよう。
あの時の本気にはどうやったら成れる?



たいてい残像的な記憶だけはある。
でもあの時の記憶は全くない…。



木刀を手に取った。




『私は…この刀で何を守れる…?』




あの時は確かそうやって自分に問い掛けた。



そのときの答えは────『自分を守る為』



でも自分を守る為だけじゃないよ、渚は。
夜兎工業のトップに君臨してんだから…。



あたしの大好きな学校を…皆を守る…!!




『……』




意識が薄れてく。



今ならなんだか屋上から飛びおれる気がした。










飛び降りた


(屋上の柵をまたいだ)

(その後の記憶はない)

(でもきっと飛び降りた)




◎110827




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