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ひびの入った

13.泣き崩れた

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知りたいんだ、和のこと。



君の強さの秘密は?



喧嘩嫌いなくせに自我を保てなくなる程本気になるのはなんで?



喧嘩してるときの目が冷たい、俺みたいに。
なのに暖かさもあるのはなんで?



たくさんあるんだ、聞きたいことが。















『え、強さの秘密?』


「うん」




新学期早々なんて質問を…。



強さの秘密…ね。
あたし的には全力で言いたくないんだけどな。



だってこういうのって笑えないし言えないでしょ。



少なくともあたしは絶対言えない。




『私が……を棄てた日』


「え?」




あたし今走って神威から逃げた。
神威から…?



何から逃げたんだろう。



神威?
神威も含め…視線?
神威の知りたいって期待?
…過去?
……あたしじゃないあたし…?




『…意味わかんない』




屋上なんて滅多に行かない。
でも学校で一番好きな場所。
何処よりも静かで、何処よりも学校がわかって…そういう場所。



でも…意味わかんない。




『阿伏兎がいるなんて聞いてない』


「煙草吸えんのは此処くらいだからな」


『不良』


「お前さんもな」




アンタ程じゃないって言ってフェンスにもたれた。



…やっぱり幼なじみは騙せないかな。




『なにも訊かないの?』


「訊いて欲しくないだろ。そもそも訊かなくても判るしな」


『さっすが…』










泣き崩れた

(阿伏兎の前でしか泣けないことが悔しくて)

(そう思ったら余計に泣けた)




◎110823




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