ひびの入った
▼13.泣き崩れた
13/37
知りたいんだ、和のこと。
君の強さの秘密は?
喧嘩嫌いなくせに自我を保てなくなる程本気になるのはなんで?
喧嘩してるときの目が冷たい、俺みたいに。
なのに暖かさもあるのはなんで?
たくさんあるんだ、聞きたいことが。
『え、強さの秘密?』
「うん」
新学期早々なんて質問を…。
強さの秘密…ね。
あたし的には全力で言いたくないんだけどな。
だってこういうのって笑えないし言えないでしょ。
少なくともあたしは絶対言えない。
『私が……を棄てた日』
「え?」
あたし今走って神威から逃げた。
神威から…?
何から逃げたんだろう。
神威?
神威も含め…視線?
神威の知りたいって期待?
…過去?
……あたしじゃないあたし…?
『…意味わかんない』
屋上なんて滅多に行かない。
でも学校で一番好きな場所。
何処よりも静かで、何処よりも学校がわかって…そういう場所。
でも…意味わかんない。
『阿伏兎がいるなんて聞いてない』
「煙草吸えんのは此処くらいだからな」
『不良』
「お前さんもな」
アンタ程じゃないって言ってフェンスにもたれた。
…やっぱり幼なじみは騙せないかな。
『なにも訊かないの?』
「訊いて欲しくないだろ。そもそも訊かなくても判るしな」
『さっすが…』
泣き崩れた
(阿伏兎の前でしか泣けないことが悔しくて)
(そう思ったら余計に泣けた)
◎110823
←◎→