ひびの入った
▼11.なぎさ
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どうにかならないかな。
「喧嘩はやめとこうよ」って言ったら「馬鹿かお前」って言われました。
馬鹿だよ私!
そんなのずーっと前から知ってるし、自慢になんないけど。
「何の為の木刀だぁ?喧嘩する為…だろ?」
違う。
そんなんじゃない。
これはそんな下らないことの為の剣じゃない。
そもそも私喧嘩嫌いだって。
いつも正当防衛だから。
『…そんな考えだから負けるってこと判ってる?
喧嘩してあげてもいいけど貴方たちの負けは確定してるから』
「んだとぉ!?」
…遠くで阿伏兎の声が聞こえた。
久しぶりの本気だ。
海に来てコレだから相当機嫌悪いんだろうな…だって。
当たり前じゃん。
それと…。
本気出していいんだね。
最初に春雨の奴らが殴りかかってきた。
でも和はアッサリとかわす。
殴りこんできた勢いも利用して後ろに倒しながら。
あいつらも俺と同じ先手必勝…。
所詮同じ学校に居たんだ、何も変わらないね。
俺があいつらのことを嫌いでも。
「お、終わったね」
「いーや、まだだ」
あり、本当だ。
あの目のまま…和が来る。
殺気を持って。
阿伏兎は警戒の対象に入ってないから気付かなかったけど、阿伏兎からも殺気がする。
和は真っ直ぐと阿伏兎の方へ。
…殺気に誘われてる…?
「!!!…おい阿伏兎!」
阿伏兎は和に向かって走って行った。
物凄い速さで。
和のすぐ横を通ったとき。
耳の近くで阿伏兎はなにかを言ったらしい。
「NGS」
(NGS…?なぎさか)
(…とっておきの呪文だ)
◎110807
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