小説
5年くのたま / 変態臭 / 企画 / ×好奇心旺盛

くのたま保健委員の代理を頼まれた。保健だより貰いに行くだけの簡単なお仕事だそうだ。まぁそれくらいなら良いか、と二つ返事で引き受けた。その現場を目撃した隣にいた友人が私は行かないよ寒いからと言い出したので、一人で行くことに相成りました。アンタ保健室好きだねとも去り際に言われて思わず真顔になった。私周りからはそう思われてんのか。



「というわけで、くのたま分の保健だよりください」

はい、分かりましたーとニコニコしてプリントを持ってきてくれたのは、この保健室で最も人畜無害、もといマシだと言える保健委員である猪名寺くんだ。

「あっ間違えた」
「ねぇ今”かるて”って見えたけど。私の名前も見えたけど錯覚かな」
「目薬出しときますね」
「何サラッと私の目の具合のせいにしてんだ。情報開示ってものがある」
「ちょっと恥ずかしいなぁ。どうぞ」
「素直でよろしいがコレはいったいどういうことだ」

血の味に包帯の変色具合、傷口の舌触り。何でこんなにも情報の偏り方が可笑しいんですかね。1年生に何教えてんだあの先輩達は。若干名同級生だが。

「あまりあの先輩達のお話を鵜呑みにしないほうがいい。何故なら君は素直すぎるから」
「とっても勉強になりますよ」
「そう、確かにここは学び舎。でも君が学ぶべきことは他にもっとたくさんあると思うの」
「うーん」
「どこかで土井先生が泣いてる気がする」

150202
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