小説
5年くのたま / 変態臭 / 企画 / ×加虐趣味

ブフォッ!!忍に有るまじき失態、女に有るまじきリアクション。だから小道具使う実習は嫌なんだ。霞扇とか誰得なんだよリスク高すぎる件について。手元が狂って中の粉末が逆噴射して鼻やら目やらに直撃してしまった。口元まで覆った頭巾は意味をなさなかったらしい。この頭巾の改善を求める。大した毒ではないが、やや麻痺系とか言っていた。大丈夫なんかコレ。少なくとも私の身体は、噎せたり涙を流したりして自己防衛に必死だ。
友人に担ぎ込まれ放り投げられた先は、毎度のごとく保健室である。



「ああ、ナマエ先輩でしたか」
「ううぅ…目が霞んで前が見えない」
「どさくさに紛れて身体をまさぐらないで頂けます?」
「そんなつもりないよ!本気で見えないし、身体も自由が利かな…痛!」

おい、おい…。この子受身も満足に取れない相手に足払いかましやがりましたぜ…どんな英才教育受けたらこんな保健委員に育つんだよ新野先生しっかりしてくれよ…。
今までの私ならツンデレかわゆいと思っていただろうが、私はもうコイツの正体を知っている。可愛い天使はもう居ない。この世にはもう存在しない。

私が痺れ薬のせいで動けないことをいい事に、川西くんが倒れた私の身体に馬乗りになった。顔が近づいてきて、涙ぐんでいる私の両目に目薬を落とした。スッキリはしたが、上手く目が開けられない。そのまま鼻の穴に筒を突っ込まれて気付け薬を吹き入れられた。不器用ゆえの手酷い手当が彼流。そう思っていた時期が私にもありました。

「ェホッゲホッ…ッ!」
「そういえば、伊作先輩と伏木蔵がバラしたらしいじゃないですか」
「そ、そうですね。衝撃の事実を知りましたね」
「じゃあもう知ってるんですね。僕が先輩のこと好きだって」
「………ファッ?!」
「え」

それは初耳ですけれども。

「えっあ、嘘…!嘘です!!何でもないです!!!」
「あのちょっとできたら身体起こしてってほしいな…」
「知りません!」

そのまま保健室を飛び出していってしまった川西くんの代わりにやって来た鶴町くんに絶望したのは別のお話。

150131
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