小説
ディセ=夢主 / 続く?

いつもは甲板にいるセルシウスも、オルタータ火山付近で停泊している今に至っては、資金難喘ぐ船長をねじ伏せたギルドリーダー指揮の元、空調が十分に効いた船内に避難していた。主のいないがらんとしている甲板は、暑いの大好き!暑いの平気!な我々が掌握した。ちなみにレから始まる暑いのまかせろ!なおっさんは呼んでない。

「掌握した!!」
「掌握したヨ!!」
「じゃあ、当初の予定の通りに」
「アイアイサー!」

ナマエは力仕事、マオはサポート。お互い記憶喪失同士ということもあってか、発想力の限界は似たり寄ったりである。よってその役割分担に全く疑問を感じることなく、ナマエは倉庫へ行き、マオは食堂へ向かった。

「おー、あったあった」

武器や防具、使っていない家具や毛布に紛れて眠っているそれらを見つける。海に行くんだと張り切っていたシェリアとコハクが、いつの間にか街で入手していたサマーベッドとパラソル、そしてテーブル。それらを甲板へ運び出す。全てを一気に担ぎ上げられるのは、ナマエならではだと言える。大剣士に格闘家、それから通じる上級職を経験し、異次元レベルの肉体改造を繰り返した賜物かもしれない。どこにその筋肉をしまっているのかは誰にも分からない。質量保存の法則を無視した体型に興味を示したハロルドが、ナマエの身体を弄り散らかしたのは割と最近の話だが、ナマエにとっては既に忘却した過去である。

「この辺り?」
「もうどこでもいいヨー!!早く早く!!」
「はいはい。マオ、飲み物はこの上ね」
「ウン!あ、ナマエしゃがんで」
「え?はい」

マオがナマエの髪にハイビスカスの花飾りを付ける。ナマエの黒髪に映える真っ赤な花。マオに至っては、ハイビスカスの花輪を首にかけている。2人して羽織っていた上着を脱ぎ、水着姿になる。ナマエはジュディスに借りた白色の水着を、マオが水色の水着を来ていた。

「雰囲気大事!」
「確かにね、よし…じゃあ、せーので寝よう!」
「オッケー!」

せーのっ!掛け声と共に、2人はナマエが運んだサマーベッドにごろんと横になった。丁度、パラソルが顔に影を落とす。設置は万全のようだ。

「…これは最強に最適」
「ハァ〜日差しが心地いいヨー…」

日焼けしない体質の2人には、このままここで寝ることに何の抵抗もない。欲望のままに、2人は怠惰を貪るのだった。

150205
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