小説
腐女子主 / 続くかもしれない

「ぎゃhっはははっはははははげほっげほ!!!!馬鹿め自業自得だ」
「返す言葉もございません」

あの後、完全に硬直した私を連れて正志君(自己紹介してくれた)は帰宅した。つまり私の現在地は七河家。瑠依の部屋で正座をさせられている。今回ばかりは瑠依の風邪は本当だったらしく、おでこに冷却シートを貼った瑠衣がベッドの中にいた。風邪で咳き込んでいるのか単に噎せているのかは分からない。どうせ仮病だと思い込んだ私も悪いけど、瑠依の狼少年の流れも悪くないですか。

「てかさ…正志君イケメンすぎん?」
「そうかねー?」
「痴女ムーブで通報されてもおかしくないのにイケメンが笑うとなかったことになるんだね…」
「いやなかったことにはなってねーから!!何なかったことにしようとしてんの!!??」
「私一生あの感触を忘れない」
「お前その顔でそのキャラはやめたほうがいいって何回言えば分かるのお??」
「正志君が寛容で助かったー」
「うーん…ま、ナマエの場合エロ同人的展開になってもおかしくなかったからね。相手が正志で良かったよ。姉がこんなだからか自然と面倒見も聞き分けも良い子に育っちゃってさー」
「うんうん!すごい好青年だったわ」

という会話をさっきまでしていた気がするのだが。治りかけとはいえ風邪の瑠依のところにこれ以上長居するのも悪いので、そろそろ帰るねと言って瑠依の部屋を出ると、廊下の壁にもたれかかっている正志君と出くわした。
後からきちんと会って話そうと思っていた。先程はできなかった黒歴史上最大の失態を謝罪する。私だってなかったことになったなんて本気で思っていない。いくら瑠依の弟で寛容で聞き分けいいとは言っても普通ならトラウマ物で、少なくても彼だって嫌な気持ちになったに違いないのだから。

「あ、あの正志君…さっきは本っ当にごめんなさい」
「いや、いいよ。全然気にしてないから」
「ウソ!?ぜったい気持ち悪かったでしょ!!?というか、こんな女がお姉さんの友達なんて…」
「姉さんに聞いてどんな人だろうと思ってたけど、想像通りすぎてむしろ安心した」
「瑠依は私を何だと思っているんだ…?」
「………ああ、そうだ」
「はい?」
「俺もまぁ、少しはびっくりしたよ」
「で、ですよね…?」
「女の子に胸揉まれるなんて経験、後にも先にもこれっきりだろうな」
「こんな痴女が生きててすいません、どうか通報だけは…」
「何でもする?」
「はい…もういっそのこと奴隷にしてください」
「じゃあ俺と付き合ってくれる?」
「!?」

ど、ど、ど、どういうことだってばよ!!!!????思考回路が爆発した私はその場から逃げ出した。

130616
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