小説
腐女子主 / 続く

最近やたら欠席が多いから心配してたのに裏でそんな美味しいことをしてたなんて!どうして真っ先に私に言わないの!!そう憤慨しながら瑠依に言うと、瑠衣は「絶対ネタにされると思ったからぁ」という言い訳と共に謝罪を繰り返した。あ?ネタにするに決まってんだろうが生活全てがネタなんだよ。

そんな会話があった後日にも、瑠依はしばしば学校を休み、双子の弟君が通うきらめき高校へ弟君になりすましては忍び込んでいるようだった。

双子の入れ替わりなんて定番中の定番おいしすぎることをしているのに、瑠依はこの事に関しては秘密主義を貫いている。そのせいで私はちっとも楽しめない。それに、唯一無二の親友で腐女子仲間だというのに、学校に瑠依がいなくて正直寂しい。…これは調子に乗るから絶対言わないけど。

そんな欲求不満が募った私はついに行動を起こす。隠れ腐女子のネットワークを舐めないでほしい。とりあえず、きらめき高校内での瑠衣の状況を知りたくて、きらめき高校に存在する腐女子仲間に、最近の七河君(弟君の名前は知らない)の様子について聞いてみたのだ。すると、きらめき高校の腐女子仲間は仕事が早く、出るわ出るわ、腐 女 子 歓 喜 ☆な┌(┌ ^o^)┐が。主に弟君とその男友達との間で繰り広げられているらしい。きらめき高校の腐女子仲間と違って俯瞰視点で状況を見ている私はめずらしく冷静だ。その┌(┌ ^o^)┐が意味すること、すなわち瑠依とその弟君の男友達がデキてる、もしくはデキ始めてるってことだと理解した。
きらめき高校と言えばあの伝説の木の話が有名だし、腐女子には珍しい恋愛脳を併せ持つ瑠依のことだから、例の伝説に興味を持つのも不思議じゃない。本気で恋愛しているのなら、ネタにされたり茶化されたりもしたくないだろう。何一つネタを提供しない友達がいのない奴だと思ってごめん、でも正直、瑠依ってちょっとイジリたくなるところがあると思うんだ。


きらめき高校の下校時間に合わせて校門に張って、瑠依が1人で帰るところを見計らう。今日もまた瑠依は欠席だったし、噂の男友達君もバイトだと調査済み。瑠依、イジられる覚悟は良いか。無事1人で校門から出て来た瑠衣をストーキングする。河川敷辺りまで行ったところで周りに人がいないことを確認、好機だ。

「るーいるいっ!」

驚かせようと後ろから抱きついて胸を揉んだ。

「……」
「あ、あれ、瑠依?」

おかしいな……。いつもならにぎゃーーッ!とかハレンチでござるうううう!!とか全力で叫んでくれるのに。というかなんか、硬い。

「えっと…姉さんの友達?」
「え…」

そんな、最悪の出会い。

130405
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