小説
清潔だけど少しだけゴワゴワとしたシーツに包まれながら、何を思っていたんだっけ。

病室の窓の外では空が良く晴れていて、優しい風は薄いレースのカーテンをなびかせていた。サイドテーブルにはスマホと読みかけの本。しばらくやっていなかったゲームにスケッチブック。それから、

「さいごに、お水をあげるね」

ああ、そうだ。エアプランツに水をあげようと思ったんだ。植物好きだった私に両親が送った、水を求めて空中へ根っこを伸ばす植物に。いつもよりも身体が精一杯という感じがして、これがさいごなんだと察した。

私は、何故さいごにエアプランツの水やりなんて気にしたのだろう。それについては、今でもよく分からない。

(200706 / )
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