小説
ジャン視点 / 女子は大体エレン推し

お!ちゃんと集まってるね感心感心、そう言いながら楽しそうに梯子を上ってきたのは、本来ここにいてはいけない人物だ。というのも、ここが俺らが寝泊まりする男子寮の2段ベッドの上で、ソイツはナマエ・ミョウジという生物学上は女であるからだ。

ここに呼んだのは俺らであるが、勘違いはしないでもらいたい。別に俺らは寄って集ってコイツを手籠めにしようだとかそんなくだらないことは一切考えていないし、間違ってもそういう発想に転がるはずもない。理由は明瞭だ。優先する目的が別にあり、かつナマエは俺らの好みには全く当てはまらないからである。

確かにナマエは女子にしては背が高くて顔も整っているためか、成績は中の上程度なのにも関わらずよく目立つ。だからか男子の間ではしばしば名前が挙がるし、間近で見れば話題に挙がるのも納得の見目だとも思う。しかし、俺は長身でも黒髪でクールな女がタイプだし、ライナーは小柄で柔らかい雰囲気の少女が、ベルトルトはキツめな性格が良いようだ。つまり、ナマエは俺らの好みに掠りもしないわけである。

極め付けは、ナマエの性格だ。コイツの性格を知れば知るほど、そういった対象から遠ざかる。

「と、ところでアルミンはいつもどこで寝てるのかな…?はぁはぁ、おじさんに教えてくれる?」
「今日も絶好調だねナマエ…。アルミンの寝床はそこだよ」

…気持ち悪いにもほどがあるだろ。いつもは猫を被っているが、気を許した相手の前だとこうなってしまうようだった。喜ぶところなのかもしれないが、正直知りたくなかった事実である。残念というにも限度という話だ。コイツで抜いてる連中を気の毒にさえ思う。
息荒くベッドに乗り込むや否や挙動不審にキョロキョロするナマエに、ベルトルトがいかにも親切そうに指し示した。しかしそこは…。

「わーーい!!!!はぁはぁはぁはぁアルミンの枕あぁくんかくんか……!」
「ははは、残念だったなナマエ。そこは俺の寝床だぜ」
「なん…だと…。どおりで何か加齢臭がするわけだ…」
「傷ついた」
「ベルトルト計ったな!!あとでアニのおっぱい揉んだ手で頭撫でてあげようと思ったのにクソックソッ!!」
「なんだって!?だめ!ライナーの太ももで拭うのはやめて!!もったいない!!!」
「泣くぞ!俺は泣くぞ泣いていいか」
「ジャン先生―ベルトルト君がライナー君泣かせましたー」

来て早々ライナーの寝床をアルミンのものと思ってゴロゴロ。起き上がるのもダルいとばかりに、寝転んだまま、ライナーの膝を枕代わりに顔だけこちらに向けている。仮にも女がベッドの上でそんな格好をしているというのに、俺の股間の息子はピクリとも反応を示さない。このままナマエが全裸になってもきっと勃たない。不能じゃないかと疑われそうだが、ナマエをミカサにすり替えて想像しようものなら、今この状況下でも即フル勃起する自信がある。さすがにそれはマズい。俺は4人が集まった目的を思い出した。

ナマエがバカ言ってぐだぐだと適当に始まる。それが”片想いを成就させようの会”。そろそろ”負け犬が傷を舐め合う会”への改名を求める声があるとかないとか。

以前に掲載していた長編です。プロット練り直しにつき原型のみ掲載しました。

131022
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