小説
下着泥棒の話@
……また、なくなってる。

「よし殺そう」
「カレンまだ犯人分かってないから」
「ミヨなら分かるはず!ミヨ!」
「ミヨが殺人に加担するわけないでしょうが」
「その通り。星に狙い撃ちにしてもらう」
「自ら行く気だった。冗談はさておき本気でどうしよう…」

冗談じゃないのに、と呟くミヨの目が座っている。

「ナマエにはちょうどいいナイトがいるじゃない」
「……はて?」
「呼んだ?」
「お呼びじゃない」
「いいじゃんルカ君で!」
「な、何言ってるの…この子が来たら家中の甘味を食べ尽くされてしまう…!ただでさえ今うちには昨日買ったアナスタシアのチーズケーキが……ハッ!」
「よし行こう」
111224




下着泥棒の話A
「ついでチョリス君も連れてきた」
「何故に新名君?」
「ちょうどいた」
「オレがナマエさんの家に行ってもいいんですかッ!」

特に断る理由もないので、結局2人を部屋に招きお茶を出しつつ、例の話を相談した。

「そういうのって女性の一人暮らしが狙われるんですよ。洗濯物に男の下着を紛れ込ませておけばあっちから引きますって」
「それってストーカーの場合では?」

私と新名君が他にいい案はないか、と考え直そうとしているところで、今まで黙っていたルカがスッと立ち上がり、自分のベルトに手をかける。

「ま、ものは試しだ」
「ちょちょちょッ何でズボン脱ぎ始めた?!」
「男のパンツがいるんでしょ?提供してあげようかと思って」
「ルカ、アンタパンツ2枚しか持ってないんだからやめなさい!」
「エー?」
「そこ?!というか……嫌な予感がして参りました」
「じゃあチョリス君が脱げばいいんだ!」
「的中してしまったアアアアやめてェ脱がさないでエエエエッ!!」
111224




不二山と温水プール
「はばたき市ってビキニの水着しか置いてなくない?おかしくない?」
「おかしくない」
「スライダーとか波とかでハラリしたら笑えないじゃない」
「…そういうときはだな。ん!」

突然、不二山が私に背中を向けて、後ろ向きに両手を差し出す。普段から謎な行動を起こすヤツだけど今回も意味が分からない。

「両腕貸せ」
「?」

言われるがままに両腕を不二山の手に預けるやいなや、私は両腕を前へ引っ張られて、不二山の背中に激突した。鼻打った。

「硬い!痛い!」
「悪ぃ。でもこうすればもし水着が脱げても見えないだろ?」

いつの間にか私の両腕は不二山のお腹に回されていて、傍から見れば後ろから私が不二山に抱き着いているような状況で…。お互い水着姿だから肌が密着して、何と言うか…

「普通にハズいわ!!」
「?」

さすがに照れた。
120410
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