小説
設楽とクリスマス前@
クリスマスパーティ用のドレスを見ようとショッピングモールを歩いていたら設楽先輩と出会った。

「お前、それでクリスマスパーティに行く気か?」
「え?まぁこれが楽そうですし」

ドレス、というよりもパンツスーツと言った方が適切だと思う。他にもキラキラした可愛いドレスはたくさんあったけれど、お金もそんなにないし、どうせ似合わないので選ばない。

「明日17時に迎えに行く」
「は?」
「ドレスは買わなくていいぞ。俺が用意してやる。ありがたく思え」
「ちょ、メイド服とかやめて下さいよ」
「すっぴんで待ってろよ」
「眉毛ないんですけど」
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設楽とクリスマス前A
次の日、すなわち24日クリスマスパーティ当日。設楽先輩は予告通り17時に私を迎えにきた。私は言われた通りすっぴんで。すっぴんで服だけやたらおしゃれするのもバランスが悪いか思って派手すぎないワンピースを被っただけである。設楽先輩が眉毛ないなと発言したときはクソ野郎と思ったけれど、この後、私は何も言えなくなる。

「どうだ?馬子にも衣装とはこのことだな」
「……」
「…どうし」
「……ッ!」
「なッなんで泣いてるんだよ!言い過ぎ…いや、気に入らなかったのか!?」
「ちがっ…違いますッ」
「じゃあ何なんだよ化粧崩れるから泣くなばか!」
「私なんかに…こんなお姫様みたいなドレス、選んでもらえるなんて思わなかった…」
「…そんなことか」

似合わないって誰もがバカにするだろうけど。本当は、ずっとお姫様になりたかった。
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