小説
設楽とゲーセン@
何だこれは!!とでも、今にも叫び出しそうなまでに驚愕した設楽先輩。表情豊かというか顔芸達者ですよね。何、を指しているのが机の上でパーティー開けされているキャベツ太郎でも、1リットルパックにストロー直差しのミルクティーでもないことはさすがに分かった。設楽先輩の視線を独り占めするのは彼の手中にある私の

「ちょっと人の携帯勝手に持たないで下さいよ」
「俺に見られると困るものでもあるのかあるんだろうそうに決まっている」
「めんどくせェ…別に特にないですけど常識的にそれは非常識です」
「じゃあこれは何だ」
「何って…あぁプリクラじゃないですか」

携帯の裏に貼ったプリクラ。ミヨとカレンと学校の帰りに撮ったのと、桜井兄弟と遊んだ時に取ったのと、柔道部の合宿の打ち上げで撮ったのと…。ん?もう1枚あるな…。尽くんと紺野先輩とボーリング行ったときに取ったヤツだ。貼った覚えはないけど、多分尽くんが貼ったんだろうな…。

「なんで紺野までいて俺がいないんだよ明らかに可笑しいだろ」
「いや可笑しくはないんじゃあないですかね…」
「今日撮りに行くぞ」
「ハァ〜〜?ミヨとテスト勉強中なんですけど」
「ダメだ今日行く絶対行く」
「勉強しろよ受験生」
110331




設楽とゲーセンA
ミヨのあっさりすぎる見送りのせいで後に引けなくなった。仕方がないので設楽先輩と一緒に繁華街地区のゲーセンへ。まぁそろそろ息抜きがてら遊びたくなってきた頃だしいいか。

「うわ!」
「どうしたんだ」
「設楽先輩、あんまり時間取らせないのでちょっと待っててもらえますか?」
「は?」
「若干スコア抜かれてるんで更新してきます」

私の名前の上に仲良く乗っている奴らの名前が憎たらしい。今日くらいは見逃しても良かったけれど、視界に入ってしまえばもう我慢ならんかった。設楽先輩は1人で居てもどうしていいか分からない感じで普通に着いてきていた。

「これ…ルカと琥一か?」
「そうッですよッ!…!私達くらいしか、まともにやってッないですけどね!…よしッ!」
「…面白そうだな。俺もやってみるか」
「やめといた方がいいですよ。慣れてないと突き指とかするんで」
「そう、なのか?」
「怪我でもしたら大変じゃないですか」

大切な手でしょ。所望のプリ機あっちなんでと手を引いて連れていこうとしたら、手をぎゅうっと握られた。何事。

「あ、ありがとう」

振り向くと、そこには顔を真っ赤にさせて珍しく素直な設楽先輩。調子狂うなあ。
110331




West Beachに行く
ご飯作りに来て、というメールがルカから来たのは、今からいくらか前のことになる。

「もう、人の家の台所は勝手が分からんからやなんだよ。お腹減ったんなら呼ぶんじゃなくうち来いし」
「じゃあ一緒に住んじゃえば良いのに」
「は?」
「何でもない。んーいい匂い…味噌汁と白米なんて久しぶりだ」
「そう?なら良かった。ほら、もうできるから琥一も呼んできて」
「はーいお母さん」
「なんでや」
110327
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