小説
新名の前髪
いつも買ってる雑誌に葉月珪特集があったから新名クンにそのページのあげようかなと1年の教室まで来たのは良かった。新名クン呼んでとクラスの子に声をかけたら、サワラヌカミニタタリナシと言っていた。どういうこっちゃ。あちらですと手で示してくれた先には、クラスメイトから遠巻きに見られている新名クン。その新名クンが悶えている。頭を抱えながら苦しんでいる。

「あの人どうしたの?」
「前髪切りすぎたらしいですよってうわ短ッ!」
「私も切りすぎた」
「立ち直り早いですね。アイツ朝からあんなですけどマジ勘弁してくれっていう」
「朝から!?うっわどんだけ前髪にかけてんだよアイツ乙女か」
「葉月珪っぽくしたかったらしいです」
「無茶しやがって…」

今これ渡したら余計に凹むかな。

「おーい新名クンちょっと」
「はあああああああマジ前髪切りすぎたんですけど死にたい」
「死ねよ」
「生きる」
「言うほど変化見られないから安心しとけ」
「かく言う先輩も前髪どうしたのっていう」
「ほっといてくれよ」

新名クン曰く、同じ痛みを分かち合う人がいるんだと思うとどうしてこんなにも心が軽くなるんだろう。
110320




花椿の家にお泊り
今回のお泊り会はミヨが欠席なので2人だけである。

「ナマエはさぁ、アタシによく似てるよね」
「はぁ?似てはないっしょ」
「外見的な意味じゃなくてさ。同じ悩みを抱える?みたいな」
「カレンは何だかんだ可愛いじゃん」
「…アタシのこと可愛いって言ってくれんのナマエくらいだなぁ」
「何でそこでときめくの…」
「あーんそのあきれた感じも素敵!…じゃなくて、ナマエだって可愛いよぉ?」
「…可愛くないって」
「んー。ナマエの可愛さが分かる人、アタシやミヨ以外にも絶対いると思うなぁ」
「ふぅん」

可愛いとかあるわけないじゃん。でも、ありがとう。
110324
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