小説
先輩△とポニテ
茹だるような暑さに耐えかね私は常日頃から下ろしていた髪を束ねるようになった。似たような長さのミヨは見る限り汗1つ掻いていないというのに私の代謝の良さは何なんだ自重しろ。今度美容院行こう、ボブとか可愛いよね。うちわで扇ぎながら自販機までの廊下をだらだら歩いていたら、後ろからグイッと髪の毛を鷲掴まれた。

「いっだ」
「おいこの尻尾はなんだ」
「こら設楽、ミョウジさんだって一応女の子なんだから」
「泣いていいですか…っていだだだ」

先輩方だった。もう先輩とかつけなくていいんじゃないかなと思っている。痛いと訴えてもぐいぐい髪を引っ張ってくる設楽先輩は悪気はない感を醸し出しているから一層性質が悪い。何がしたいんだよこの人。

「だから、これはなんだって聞いている」
「暑いんだよ分かれ」
「な、先輩に向かってなんて口の利き方するんだお前!」
「そうだよミョウジさん。設楽相手とはいえさすがにそれはない」
「泣いていいか」
「泣いたら」

そう提案したらガチで泣きそうだったのは見なかったことにしておこう。
110319
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