小説
花椿を紹介される
ミヨ(と呼んでと言われた)の中学からの友達で、A組の花椿カレンという子を紹介してもらった。一際目立っていたから、紹介にあずかる前から顔だけは知っていた。少し話して思ったけれど、彼女は色々と変わっている。

「ふぅんミョウジナマエね。あだ名を付けるならさしずめバンビってとこかなぁ」
「どこから取った?」
「気にしない気にしない!バンビ…うんっかわいいかわいい。ね?ミヨ」
「すごく、いいと思う。バンビ」
「定着してしまった。まぁいいんですけどね…体現できてないだけで…」
「いやぁバンビはバンビっしょ」
「は?」
「…アタシ、見る目は確かなのよねぇ〜〜」
「?」
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設楽が絡んでくる
「おい」

声をかけられると同時に腕を掴まれ、思わず立ち止まった。振り返った先にいた私を引き留める人物は、入学したばかりの私でも知っているほど、この学校では(いや、外でも十分だろうけど)かなりの有名人である。私の右腕を掴む真っ白な手。細く長いキレイな指先には几帳面に切り揃えられた爪。さすがピアノを弾く人の指だ。

「えと、あの…何でしょう…設楽、センパイ」

できれば関わり合いたくはないなぁと正直思った。こういう繊細そうな人は苦手だ。先入観で大変申し訳ないけれど、あまり良いイメージが沸いてこない。腕を掴んだまま何も言ってこない設楽先輩のせいで彼に対する良くないイメージは負の方向へと育っていく。ギュッとさらに腕を強く握られてポカンである。何この人意味分からん…。

「ちょ、ちょっと」
「硬い腕だな」

ちぎっていい?私の中で設楽のイメージは超無礼なモヤシ男で定まった瞬間である。
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紺野の服装検査
「あ、挨拶運動やってる。おはよーございまーす」
「ちょっとちょっとソコの君」
「私のことですか?」
「そうだよ君のことだよ。今日一応服装チェックの日なんだけどそんなに大胆に違反されるとさすがに凹むんだけど」
「えええ私けっこうまともに…あ、リボン忘れてるわ」
「ほらね!スカートも規定より随分短いようだしピアス等のアクセサリー類も禁止なんだよ。君1年だよね?」
「よく喋る人だな……すいません、スカートはくるくるっと戻してと。リボンは次から気を付けるので今日は見逃して頂ければ幸いです」
「皆そう言うんだよね」
「見逃しては頂けなさそうな空気」
「残念だけど…あっそこの男子生徒ちょっと!君はここにいてね!絶対だよ!絶対ここにいてね!」
「……」

フリかな?逃げよう。
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