小説
ゲーム主≠夢主

「あ、キバナだ」
「こぉら、さんを付けろもしくは様」
「きゃあ!」
「あとはにぃにだな、ほら言ってみ?キバナにぃに」
「もう抱っこされる歳じゃないのに!」

ナックルジムのジムリーダーであるキバナ。キルクスタウンでは珍しい姿に思わず声を掛けてしまった。
それが失策だと気が付いたのは彼に抱き上げられて、左腕に座らされた瞬間だ。長年座らされていた場所だけあってよく馴染む。
少しバランスが悪いのは私の身体が大きくなったからで、それは彼の首と頭に手を回すことで何とかなった。

確かに、彼を見つければ母の手でも兄の手でも放して駆けだして、抱っこ!と強請ってはきゃっきゃと無邪気に喜んでいた。
そういう時期があったのは紛れもない真実だけど、それは昔の話。

この男、モテるのにデリカシーがない!本当に身体が大きくなって重くなって、キバナに抱き上げられることでそれがバレるのが恥ずかしい。そういうことわかんないのかな。
ママゆずりの身体はすくすくと成長し、去年はフィギュアスケートの道を諦めて、趣味でやっていくことに決めたばかりだ。

「大きくなったなぁ」

言った!!言うと思った!!!

「だって、もう子供じゃないし……重いなら下ろしてよ」
「そんなことは言ってないだろ、むしろ…」
「え?」

タイミングが良いのか悪いのか、バラバラバラ、空からあられが降り出した。思わず目の前にあるキバナの頭を抱きしめた、
彼は寒いのも雪も苦手なのだ。小さく「おぉふ…」と声を漏らすキバナに、うちで休んでく?と聞いたらものすごい勢いで頷かれた。

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メロン娘、マクワ妹、ただしメロン設定画通りではない

191224
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