小説
いつかお姉ちゃんは幸せそうに話していた。その時、それこそ俺は、目の前でにこにこ笑いながら相槌を打っていた。でも、腹の中では嘲笑っていた。だって俺はあんな伝説ちっとも信じちゃいない。灯台の伝説?ああ、例のロマンチック(笑)な人魚の話ねって感じ。
そもそもはばたき市ではそりゃまぁ有名かもしれないけど。人魚っていうとさ、たしか人魚の肉を食べると不老不死になれるってのがメジャーだよねぶっちゃけ。だからあの伝説の人魚もどこか遠くで跡形もなく食べられちゃったのかもしれないよ?不老不死なんてステータスを望むのはフリーザとかベジータ的な連中だろ、きっとその大層美しいらしい人魚はそんな奴らの一部になったってわけだはいはい悲劇悲劇。ねぇ人魚っておいしいのかな、人間と魚と合わさった味とかしたら面白いね?俺は机の上のいつかお姉ちゃんと一緒に描いた人魚姫の絵をぐちゃぐちゃにして破り捨てた。灯台の伝説とかバカバカしくない?人魚なんていらないよ。
(120107/)

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