小説


もう日は暮れて、かなり暗くなった頃だ。窓の外で話し声がしてきて、お姉ちゃんが帰ってきたのが分かった。既にひいたカーテンの隙間から外を見る。お姉ちゃんの隣には銀髪。ということは佐伯さんだ。お姉ちゃんはどうやら今日は、佐伯さんと遊びに行っていたみたい。雨が降り出したから、サッカーはお開きにして、俺は早々に帰ってきたけど、お姉ちゃんと佐伯さんは1つの透明のビニール傘を二人で仲良く差して、ゆっくりと休日を満喫したんだろう。いいなァ妬けるなァ。そうぼーっと眺めているときだ。傘が普通の傘だったら、透明じゃなかったら見えなかったのに。傘の下で顔を寄せ合う2人を見て愕然とした。……本当に、妬ける、なァ。

(110619/)
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