小説
念願のクレープを手に入れて目をキラキラさせている瑞希の隣で、俺はナマエさんから事の経緯を聞いた。俺は迷わず瑞希との再会は保留にしたが、ナマエさんはナマエさんで瑞希の帰国後の忙しさを考慮して迎えは見合わせていたらしい。確かに須藤家のようなところは面倒が多い。メールで済ませようとしたところ、

「瑞希から会いに…まあ、昔から瑞希はナマエさんにべったりでしたからね」
「瑞希さんが急に押しかけてくるからびっくりしちゃった」

嬉しいサプライズだったなぁと呟くナマエさんは心から嬉しそうだった。またその隣で瑞希はクレープに対して安っぽい味だと罵りながら過半数を平らげていた。

「そういえば聖司くんのクラスは出し物何をしてるの?見た感じ……執事喫茶かな?」
「……」
「あはは図星だ。じゃあ今は休憩中?」
「……」
「サボりなんだ?」
「……まぁ」
「聖司くんかっこいいから指名たくさんきて大変そうだしね」
「お、俺のことより。お2人はこれからどうするんですか?」
「どうするも何も……ナマエの目的を果たしに行くだけよ」
「ちょっと!?もう瑞希さんったら」
「……目的?」
「そういうわけだから!聖司さんは自分のクラスにでも戻りなさい」
「別に俺が一緒に行っても問題ないだろ」
「なんでさり気なく付いて来ようとするのよぉ、私は!ナマエと2人で回るって約束したの!」
「2人でも3人でも大して変わらないじゃないか!」
「何よぉ!ぜんっぜん違うわよ!折角久しぶりにナマエと遊んでるのにぃ!!」
「……瑞希さんのデレ期かわいすぎてつら……あっ!!!」

ナマエさんが突然に上げた声によって俺と瑞希の言い合いが終わった。俺達2人をその場に置いてナマエさんは目線の先へ人混みを抜けて走って行く。迷子になったら間違いなく目印になるだろう、人混みの中でも見失わないほどの存在感。周りから頭一つ分突き出た背の高いその人は。

3年執事喫茶(客寄せパンダ)/バンビとの劇もやらされてます
(130402/)
- ナノ -