ネタ
aot ジャン逆トリップA

袋はどうされますか、と聞かれた。この寒空の下、それらを食べ歩く姿が想像できたのだろう。悟られてたことに恥ずかしさなんてものは微塵も感じないが、2個同時食いするのは難しい。熱いし。下さい、と短く言えば、すぐに茶色の袋に入れて渡してくれた。



「ハァー、星キレー」

何となく空を見上げると、星が見える。いつもよりよく見える気がして、目を離すのが惜しい気がした。車も通らない道で、周りを気にしながら歩く必要はない。気兼ねなく、私は空を見ながら自宅を目指していた。

しかし、それは1つの声で中断される。アパートが乱立している辺りでのことだった。啜り泣くような、男の子の声が、聞こえた。

(…幽霊的な…!?)

大袈裟に身体をビクつかせ、キョロキョロした。いつもこの道を通るときはこんなことなかったし、さっきコンビニに行く際も何ともなかったのに。しばらくそうしていると、どこかのアパートの前にあるゴミ置き場の辺りで、うずくまる人影を見つけた。その存在感に幽霊の線は一瞬で途絶えた。普段なら、こんな深夜に人と出会うこと自体、危機感を覚えるところなのだけど、今は全くそうは思わない。

だって、膝に顔をうずめて泣いているのは、中学生くらいの少年だったから。


2013/11/02
- ナノ -