ネタ
aot 片想いフォーマンセルD?

「ベルトルトくんだっけ?」
「えっ…そ、そうだけど」
「ペア組まない?」

そう声をかけてきたのは、#名前#・#苗字#と呼ばれている女の子だった。ジャンやマルコ辺りの男子とつるんでいる所をよく見かける。逆に女子といる所はあまり見ない。男顔負けのさっぱりとした性格のせいだろうか。
話でしか、まともに彼女のことは知らない。そんな彼女を間近で見るのは初めてだが、噂通りの人だと思った。見た目も、雰囲気も。背が高くて華奢な体つきも、僕みたいな1度も話したことのないような異性に、何でもないように声をかけるフレンドリーさも、彼女とは大違いだ。常に笑顔なところも、一見親しみやすいように見えるが、逆に底が知れないという意味では、恐ろしさを感じる。

「へー、ベルトルトくんってアニのこと好きなの?」
「!?」
「あ、図星か」
「な、何で…」
「だって君、彼女のこと見すぎなんだもの」

僕の動揺になんて目もくれず、対人格闘の準備をしている。そうか、僕は#名前#さんにペアを組もうと誘われたんだった。できれば関わりたくない。そもそも僕では、#名前#さんの身体を折ってしまいそうだ。断りたかったのだけど、気が付けば周りももうペアを組み終えている。

「好きな子って目で追っちゃうよね。分かるわー」

そう言う#名前#さんの視線の先には、エレンと彼に張り倒されているアルミンがいた。
エレン?いや、意外にアルミンか?#名前#さんはジャンかマルコのどちらかと付き合っているとばかり思っていた。素直にそう告げると、#名前#さんから笑顔が消え、著しく形相が変わった。あ、この人面白い。瞬時にそう悟った。僕は、その時の彼女の顔を忘れらないだろう。

その数日後、陰で、片想いを成就させようの会とかいうものが発足された。何故、陰で発足されたソレの存在を知っているのかというと、答えは単純だ。誘われたのだ。発足と同時に。
別に僕は片想いを成就させようだなんておこがましいこと考えていないけど。#名前#を通せば、自然にアニの様子を聞くことができる。さっぱりとした性格で男受けがいいという見立ては、強ち間違っていなかったようだ。笑顔の裏が見えないと思ったが、見えなくて当たり前だ。コイツ、裏がない。僕の言葉を真に受けて、わけの分からない会を発足させる辺り、#名前#はバカに正直者らしい。
と、言う訳で、入会することがもたらす利益を取った僕は、#名前#の誘いの乗ることにしたのだ。僕が誘いを受けた頃には、同郷の親友は、既に重役とばかりに鎮座していた。


2013/10/19
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