ネタ
comic nbng サブローの後にトリップ@

家でおいしくご飯を食べてお風呂に入ってベッドでうとうと眠くなったところまで覚えている。誘われるまま寝付いたことは想像できる。本当ならそれからどうなるかも想像できるはずだった。なぜなら私の日常は何の変哲もない平凡が繰り返されるだけなのだから。けれど、それはどういうわけか叶わない。私は、自分の想像の遥か上を行く現実に言葉を失った。言葉どころか自分も失ってしまいそうだ。

「あら?まぁ!」

ピンクの可愛い着物を着た純和風なお姫様みたいな人が、地べたに転がる私の目の前でしゃがみ込んだ。固まる私にはお構いなしに、周りに散らばる荷物を集めていた。そこでようやく自分の格好や持ち物に気が付いた。私の格好は寝間着にしている中学の時のジャージ上とハーフパンツで、周りに落ちているのが家で履いている恐竜足のスリッパだ。お姫様が拾って下さったのはそのスリッパである。私はその場に(思わず)正座をしてスリッパを受け取る。やけにリアルなのが引っかかるけれど、これはきっと夢だな。お姫様はほんわかと優しいので、恐怖心はあまりなくて、混乱していた頭はスッキリしてきた。

「ありがとうございました。えと、お尋ねしたいのですが…」
「姫様?!」

宣言撤回です。超怖いです。悲鳴のような怒声のような、野太い男の声と共に和やかな空気は一転。突然身体に激痛が走り、血と土の味がした。何が起こったのかよく分からず、呆然とした。どうやらこの一瞬で私の身に色々あったのだろうが、私のバカな頭で理解するには時間がかかる。
最初に背後から髪の毛を鷲掴まれて、
今まで寝ていた地面に顔面から叩きつけられて、
頭を足で踏みつけられて、
首に冷たいものが付きつけられて、
理解できない方が良かった。そのおかげで私の身体がようやく危険だと察知したらしい。鼓動が早くなって、犬みたいな息の仕方しかできなくなった身体中の震えがガタガタ止まらなくなった。あああああああああああああああああ私の頭と胴体、これから分かれるみたいです。これだけリアルな感覚と感情を体験しておきながらこんな抗い方ないと思うけど、それでもどうかこれが夢でありますようにと最後の希望に死を覚悟した。


2013/08/30
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