ネタ
wj srdn 桜木と美少女幼なじみA

廊下を歩いていただけ。そう、それだけ。

「あなた、もしかして#苗字##名前#ちゃん?」
「…そーだけど?」
「私、赤木晴子。桜木君の幼馴染の子、だよね?」
「……」
「あれ?違った?」
「……違わないけど」

息を飲んだ。まさか赤木晴子の方から話しかけてくるなんて思いもしなかった。女子とはほとんど話さないから、どんな感じで話せばいいのか分からない。ちょっと声が高かったり語尾が伸びるだけでぶりっことか言われるし。ただの女子なら別にテキトーでいいけど(そもそも話さないけど)、目の前の彼女は花道の想い人である。扱いは慎重にならなければならない。とりあえず、花道の面子のためにもテキトーに話合わせて良い人ぶっておこう。

「あなたが…。えと、私が言うのも可笑しいんだけどさ……花道にバスケ教えてくれてありがとう」
「え?」
「アイツさ…今まで喧嘩とかばっかだったから。まぁいつも一生懸命なんだけど、バスケは特別みたい」

動機はともかく、という言葉は胸にしまっておこう。こんだけ愛想よく笑顔振りまいておけば悪い印象はないだろう。それすら媚び売ってるっていう女子もいるから、彼女もそういうタイプの女子ならどうしようもないけどね。

「じゃあ私、もう」

行くね、と洋平達の待つ教室へ入ろうとした。しかし、赤木さんに腕を掴まれてかなわなかった。

「ねぇ#苗字#さん!」
「な、何かな?」
「私と友達になって!」
「…は?」

(うっわうぜー)赤木さんとちょっと話してみて分かったけど、赤木さんはとても良い子そうだ。私の特別嫌いなタイプ。私が唯一、惨めに思う対象。赤木さんは見た目はもちろん、中身まで完璧だ。あんなの、勝ち目ないじゃない。

「だめ…?」
「…ううん、よろしく晴子ちゃん!」

死ぬ思いで築き上げた私を否定しないで。


2013/08/30
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