ネタ
wj aoex インクブスの血を引く女子@

身体の奥の方がじくじくと熱くなる。浅い呼吸を繰り返していたら酸素が足りなくなってきたのかひどく気分が悪い。身体は火照っているし頭もグラグラするし、入学早々最悪だ。似たような症状は今までもよくあったけど、ここまで酷いのは久々だ。耐え切れずに、通路の隅っこに座り込んだ。都合よくベンチはなかった。膝におでこを乗せて回復を期待した。経験上、  あること  をしなければ無駄だと分かっていたけれど、
こんなところでしゃがみ込んでいるのは、ますます逆効果だった。自然と思春期の良い匂いが鼻を擽って、余計に体が熱くなってきた。アアアやばい、涎まで出てきた引っ込めバカ。これから祓魔塾もあるのに、こんなところで道草を食ってぐずぐずしているわけにもいかない。

「ハァ〜……」
「おい、大丈夫か?」
「んん?」

顔を上げるとそこには鶏が居た。否、鶏のような頭をした男子がしゃがみ込む私を見下ろしていた。顔…怖いな。ん、と目の前に差し出されたのはペットボトルで、思わず受け取ってしまう。ペットボトルはまだ開いていない上、周りには水滴がたくさんついていたので、きっと買ったばかりなんだろう。突然のことでポカンと見上げてしまった。

「やる。気分悪いんやろ?」
「あ、ありがとう」
「そんなとこにおらんと日陰行けや、悪化するえ」
「そうだねぇ…あとで行くよ」
「ハァ?今いかんと意味ないやろ」
「はは、ちょっと楽になったら移動するよ。わざわざありがとう」
「……」

不良っぽいのにイイ子だなァ。感心しながら、貰ったペットボトルを頬っぺたに押し付ける。ひんやりとして気持ちがいい。ふぅと息づいていると、ニワトリ君はまだいてくれるようだ。本当に親切な人。でも、今、あんまり傍にいられるとちょっと、危ないかもしれない、…彼が。

そうしていると、ニワトリ君は突然しゃがんで、私に背中を差し出してくれた。

「んん?」
「医務室まで運んだるわ」
「え!?い、いいよそんなことしな、くて…」

本当なら、もっと必死で遠慮するべきところだった。多分、私にはもう判断する力がなかったんだと思う。少し強めに乗れやと言われると、私は誘われるようにじゃあ、向こうの木陰までお願いしますと言っていた。背負われている間、すごく男の子の匂いがして、とどめとばかりに彼の背中でいろんなところが擦れてもうダメだった。目的の木陰のところで下されて、そこまでしてくれたのにまだ心配してくれる彼には本当に申し訳ないと思ったけど、限界だった。幸い、ここはあまり人目につかない。

「本当にここでええんか?今からでも、医務し…ッ?!」

私は、彼の両頬を手の平で包んで、その唇に噛みついた。そして中を埋め尽くすような口付けをする。ざらりと擦れる舌が熱くて火傷しそうだと思った。何日ぶりかの精気がものすごく美味しい。

「…ふ、はぁッ…はぁ…な、に……」
「あなたの優しいところに付け込んでごめんなさい」

彼のおかげで回復した私はそこから逃げるように立ち去った。今度会ったら殴られるかも。でもこれだけ広い学園だ。会おうと思わなければ会わないだろう。うんきっと。


---------------
・元祓魔師の先祖(女性)が使い魔としてインクブスと契約する。
・定期的に精気を摂取しないと貧血のような状態になる。摂取する機会が得られない場合、牛乳を飲んでごまかす。
・基本的に、自分とあまり関わりのない男性を誑かして適当に摂取している。


2013/08/30
- ナノ -