ネタ
twst 絵画修復士とNRCの肖像画A

性別不問主/エース視点

「絵画修復士ってカウンセラーみてーなこともするわけ?」

#名前#と肖像画の会話はただの世間話だと片付けるには無理があった。最初は和やかな雑談のように見えたのに次第に肖像画の女は切迫感を隠せなくなり、それを#名前#が宥めるというか慰めるようなシーンが何度かあったからだ。#名前#に言葉をかけられるたび、肖像画の女は平常心を取り戻し、会話を続けるとまた泣き出し……そんなことを繰り返していた。
傍目からすると、さながらカウンセリングのような状況であったように思う。

「ありていに言うとそうかな。魔法絵画、特に肖像画相手にはだけど」

そういって、#名前#はまず肖像画ついて簡単に説明した。曰く、人物画の一種で、モデルの魂の一部まで描かれたものを特に肖像画という。
モデルが実在する人物か架空の人物か、作風が写実的であろうが理想化されたものであろうがそこに優劣はない。
画家とモデルの魂の結びつきの深さによっては絵画に残された魂の一部が動き出すため、稀に言葉を話し自在に動く魔法絵画が生まれるということらしい。
設定がしっかりしていてもアニメキャラクターのイラストは動かないんよ、設定って部分が魂の存在と矛盾するんだろうね。少しだけふざけた調子で付け足された。

続けて魔法絵画修復士の仕事について説明する。通常の絵画修復士と同じく絵や額縁の汚れを落とし欠損を直す、これが基本の仕事。
ただし肖像画たちは魂の一部でもあるそれらが汚れて欠損することで、記憶がめちゃくちゃになって錯乱することがままある。そんな肖像画の記憶をの混濁を修復という行為で落ち着かせる。それが魔法絵画修復士の仕事。少なくとも#名前#自身はそう認識しているという。魂の在り処を無視して手を加えると肖像画たちは死んでしまうから。
あともう一つ、魔法絵画修復士だけができることがあるんだけど……。そっちは別に知らなくてもいいよ。そう区切って一連の説明は終わった。

「ふーん……なあ、次はどうすんの?」
「んー、そうだねえ。自己紹介も済んだし。もうしばらくお話したら取りかかろうと思うよ」
「へえ、それめっちゃ興味あるし。オレにも手伝わせてよ」
「いらないいらない。学生は勉学に励んどきなさい。特別な魔法使うわけでもないんだし、エースには面白くないよきっと」
「ちぇ!つまんねーの!」

軽い悪態をしっかりついてから、#名前#の言う通りに次の授業へ向かった。そういえば次は魔法解析学だ。


2023/01/14
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