ネタ
twst 恋の魔法

女監督生/世界観ネタ

あれはたしかに魔法だった。誰もが私の手を取り腰を抱き、甘ったるくて軽薄な言葉を投げかけてきた。脈絡のない好意を向けられて、はじめは戸惑っていたのにそれを享受することを選んだのは他でもない私だった。でも、知らない世界で1人ぽつんと置いていかれたら縋りたくなる気持ちも分かるでしょう?
あの魔法は何だったのか。そう疑問を投げかけても懇切丁寧に答えてくれる人はいない。だって私は闇の鏡で元の世界に戻ったことになっているのだから。
ツイステッドワンダーランドへの未練がなかったわけないけれど、それ以上に元の世界に帰れることに涙を流して喜んだ。期待で胸を膨らませ、意気揚々と闇の鏡の前に立ったあの日、私は肉体を失ったのだ。



1年間、あの学び舎で得た知識を総動員させると、おそらく私の身に起こったことは呪いなのだろうと思う。この世界で何不自由なく生きていけるよう、多大なる愛を一身に受けさせた高位の存在がいたのだ。あの日以前は確かに祝福だった。戸惑うことも多かったけれど、一人ぼっちの私の心を慰めたし、ここで生涯を終えることも考え得るくらいには愛着もあったことは間違いない。それなのに私は選ばなかった。だから怒りを買い、祝福は呪いに転じたのだと思う。

こんなことになるなら最初から孤独でいさせてくれたら良かったのに。誰も私に気が付かない。何度も何度もこの感情はまやかしだって言ったのに。ずっと愛してるって言ったのに。魔法が解けても覚えていてくれる?って聞いたのに。大丈夫だよって答えたくせに。

嘘つき。


2022/11/11
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