ネタ
game pkmn ヒワマキ主がガラルへ逃げ出す話@

テレビに、見たこともないポケモンの背中に乗る女の子――ハルカちゃんが映っていた。先日新チャンピオンになったばかりの彼女をテレビで見ない日はない。だから、見知った顔がテレビに映ることには慣れているはずだった。

なのに。

それはほんの数分の映像だったけれど。落胆、失望、困惑、嫉妬、憎悪、郷愁、悲痛。目の前の映像は私にいくつもの過剰な感情を催した。処理し尽せない感情の波は私から力を奪う。手にしていた金槌はするりと抜け落ち、木の床にキズを付けた。道具は大切にする質なのに気にも留めない、ただただ、過ぎ去った映像の余韻に打ちひしがれている。

しばらくそうしていると、チルットが頭上に羽を降ろしにやって来た。ナギさんから譲り受けたチルットだ、もこもことした羽で顔面を撫で回してくる。チルットなりの慰め方であるらしい。
チルットの思惑通りいくらか心が落ち着いてきた頃、チルットは仕事を終えたとばかりに止まり木へ戻って行った。その止まり木は私が家具製作の合間に端材で作ったもので、チルットは殊の外気に入ってくれている。その光景もまた、私に平常心を取り戻させるに一役買ってくれたようだった。胸に手を当てて深呼吸をする。

落ち着いて、落ち着いてもう一度、さきほどの映像を思い起こす。私の感情を乱したのは、正確にはハルカちゃんではなかった。見たこともないポケモン、光をたたえた赤色と白色をしたポケモン。見たことのないはずなのに。

私はあの子を知っている。光で透ける白と赤の羽毛が肌をさわさわと撫でていた。黄色の目で私を見つめて、頬を寄せてくっつけあった。手を重ね合わせたときには、あの子の小さな爪が、私の肉を引き裂いてしまわないように引っ込んだ。その感触は、そのときの胸を打つような想いは、確かに私のものだった。

--------------

女主。相棒はチルット、切り札はアーマーガア。ホウエン地方ヒワマキシティにて木製家具職人をやっていたが、紆余曲折あってガラル地方へ逃げ出す。
ガラル地方では鳥ポケ使いとしての腕を買われガラル交通に就職したり、飛行タイプのマイナークラスジムリになったりする。

平行世界の移動や記憶障害の話も絡む。剣盾はメガシンカ無し世界線と仮定。
ORASホウエン→RSホウエンに転移&記憶障害発生&成長後はガラルに引っ越し。
幼い頃ORAS軸のラティアスと仲良しだったが記憶はおぼろげ。転移後は天涯孤独の身としてヒワマキシティで育てられたという経歴。
ラティアスは準伝説なので複数個体いるがホウエン地方で目撃されるラティアスは1体のみということで……。


2020/11/24
- ナノ -